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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
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「エレベーターガール」前編
 私は、エレベーターガールだった。
「今日は、美津屋百貨店にご来店くださいまして誠にありがとうございます。ご利用階数をお知らせください」
 営業スマイルでニッコリ。
 客がちらほらと利用回数を言う、その通りに私は押してエレベーターは上に動き出す。
「ありがとうございます、五階家具売り場でございます」
 営業スマイルでニッコリ。
「七階特設会場、本日はサマーギフトを取り揃えております」
 営業スマイルでニッコリ。
「十三階、レストラン街でございます」
 営業スマイルでニッコリ。
 そうして、今度は降りる客を乗せて、エレベーターは下に動き出す。
 この繰り返しで、あっというまに一日が過ぎていく。

 基本的には、微笑んで客の言われるようにボタンを押すだけの毎日。楽な仕事だと思っている人も居るだろう。
 ガソリンスタンドだってセルフになる時代だ。お客さんが思ってることなんて分かってる。
 いまどきエレベーターなんて自分でボタン押せばいいとおもうよね。そうそう、私だってそう思う。

 でもね、この仕事も、決して楽な仕事ってわけじゃないんだよ。
 一日立ちっ放しで終わりごろには足がガクガクになるし、笑顔だってこれだけ続ければ、引きつろうというもの。
 一時間ごとに交代できるのは、助かるがそれだけ肉体的にも過酷な仕事なのだ。
 受付と並び、エレベーターガールはデパートの顔であると教えられている。
 単純な繰り返しのなかでも、ミスは許されないという緊張だってある。

 本当のことをいえば、私は大学を卒業後、受付希望でこの百貨店に入社したのだ。前からやってみたかった職業だし、割と容姿には自信があったからこそ、選んだ仕事でもある。美津屋デパートの深い紺と青を基調にした制服は、上品さと女性らしさが控えめに表現されており、その上でスタイリッシュに洗練されているデザインで、もう一言でいえば超かっこよくて昔からずっと憧れていた。
 私は長い髪を撫で付けるだけの大人しい髪型にしていた。さらっとした髪は、ただ自然にこうなっていると思ってもらっては困る。乾かすたびにそれなりに手間をかけているのだ。
 髪のトリートメントには最新の注意を払う。友達みたいにパーマをかけたり、染めたりして髪を痛めるような真似はしなかった。健康と肌のケアにはそれ以上の注意を払った。自分の身体つきを考えたときに、胸が大きすぎるのが少しコンプレックスだったが、それもなるべくスリムでいるように、気をつかってバランスをとっているかぎりは、マイナスにはならない。
 私が自分で磨き上げた、女性らしくそれでいて地味にならない程度に落ち着いた私の容姿は、この高級なデパートの社風に完璧にマッチしているはずだった。
 大学だって、そこそこいい所を出ているのだ。頭だって決して悪くはないから接客にも自信があるといえた。多分大丈夫と思っても、最終試験をクリアーして採用が正式に決まったときの喜びは昨日のことのように思い出せる。
 容姿で選ばれるのが差別だとは、こと仕事がデパートの顔である受付嬢というになれば当たらないだろう。私はそれなりに日々努力して、就職という人生の大きな賭けに勝利したのだ。
 実際の勤務は、給料も福利厚生も理想に近かったし、周りは厳しいながらも尊敬できる人ばかりで、仕事にとてもやりがいが持てて楽しかった。私が就職して、最初の一年は、薔薇色に輝いてあっというまに過ぎていった。
 そんな幸せの日々が続くはずだったのに……。

 どうしてだろう、今年に入ってからこっちに配置転換されたのは今年入ってきた新人に容姿で負けたから?
 同じ素敵な制服に身を包んでいても、やっぱりあっちは玄関入り口の花でこっちは箱の中に閉じこもってるだけだと思ってしまうのは私の僻みだろうか。
 笑顔で笑って、ただ箱の中で立ってボタンを押してお辞儀をするだけ。私は人形じゃないのに。
 そういう不満は、たとえば今日も来たあの客を見たときに爆発しそうになる。

 いがぐり頭で、まるでおにぎりのような珍妙な顔をしているおっさんがそこにはいた。
 ダボダボの着古して黄ばんでいるTシャツに、なぜか短パンをいつも穿いているあの中年の男性客だ。近寄るだけで体臭が匂う、毎日風呂に入っているのか疑わしいまるで浮浪者という身なりの男。
 名前は知らないけど、あの髪を短く刈り込んだオニギリみたいな特徴的な顔立ちの男性客は、有名な迷惑客でエレベーターガールに客であることをいいことに酷いことをしているようなのだ。
 うちは一流デパートなんだけど、だからといって、客を選ぶことはできないのが悲しいところだ。
 どうせ、うちで買い物なんかしないくせに、なんで来るんだろ。
 しかも、エレベーターは四基あるのに、なんでまた私の箱に入ってくるのよ。
 私は箱の中、だから逃げることもできやしない。
 あの男性客がいつ来るか分かっていれば、シフトで避けることもできるのに、だいたい一週間に一度ぐらいの確率で遭遇するということが分かってるだけで、明確には分からないのだ。
 そして、私は次に反射的に自分の生理周期を思い浮かべる……ああ、危ない日だ。しかもかなりあの日に近い。
 最低だ、もし万が一こんな日に何かされたら。想像しただけで、恐怖に自分の笑顔がこわばって頬が引きつるのが分かった。
 そこまではされないだろうか、それでもこの男の私に対する性的な悪戯は、逆らえないのをいいことに、やられるたびに酷さを増しているように思える。
 男はそんな私の頬の引きつりに何かを察したのか、ニヤッと笑った。嫌な男だ。

「ほっ……今日は、美津屋百貨店にご来店くださいまして誠にありがとうございます。ご利用階数をお知らせください」
 こういってみるものの分かっているのだ。どんなに忙しい日でも、どれほど客が乗り込んできても、あの男性客が来店したときは、申し合わせたように全員二階で降りてしまうのだ。
「二階、婦人服売り場でございます」
 客はぞろぞろと降りていく、婦人服売り場なのに男の客まで……全員。

 そうして、中年男と私だけが箱の中に残った。
「よう、元気だったか。またきてやったぜ」
 エレベーターの扉が閉まると、男はそう話しかけてきた。ゆっくりと、エレベーターは上に向かってあがり始める。
「ご来店……ありがとうございます」
 なんとか、笑顔でそういった。男はすかさず、緊急停止ボタンを押した。
 警戒音と共に、ガクンとエレベーターは止まる。
 そう、この男性客は勝手にエレベーターを停止させるのだ。前に一度注意して、警備員を呼んだことがあるのだが、逆に私がチーフに怒られてしまった。
 他に三基もエレベーターがあるのだから、男性客が止めても困らないじゃないかと。
 まったくその通りだ。そのときの私はまだエレベーターガールに配置転換されたばかりで、苛立ちでどうかしていたらしい。他のエレベーターも止められて、流れが滞ったらどうなるだろうと考えてみたのだが、こんなことをするのはこの男性客だけだから問題ないのだろう。
 どうせ、この件で苦情など出たためしがないのだ。
 客がエレベーターを止めるなんて、デパートではよくあることなのだから。
 こうなったら、私は逃げ道がない。
「お前、名前なんていったっけ」
「芹川ゆかりです」
「そうそう、ゆかりちゃんだったねえ」
 そういいながら、男は私の尻肉をムンズと掴んで揉みあげる。
 ストッキングと下着と厚いスカートを隔てても伝わってくる不快な感触に、私は背筋をこわばらせる。
「ひゃ……止めてください」
「そうじゃないだろ」
 こわばった背中をなでるようにそらせて、今度は肩に手を置く。そうして、私の耳元に臭い息を吐きかけて、私を非難する。
「す……すいません、じゃない。ありがとうございます」
「そうそう、お礼の気持ちが大事だよね」
 今度は、私の自慢の胸を持ち上げるようにして揉む。
「あっ……ありがとうございます」
「せっかく揉んでやってるんだからさ、もっと顔もありがたがってもいいとおもうが」
 どうやら、引きつりすぎて笑顔が解けていたようだ。
 慌てて、男性客に向き直るとニッコリと笑う。もう、この百貨店に勤めて一年以上。笑顔に合わせて、化粧するぐらいに笑顔は慣れている。それと同時に、心から笑えなくなってしまったが。
「うん、今日も可愛い笑顔だね。ゆかりちゃん。キスしてあげるから屈んで」
 一応私の名誉のために言っておくと、私がデカ女というわけではない。小柄とまではいわないが、ごく標準的な身長だと思う、彼氏は私より一回り高いし。
 この男性客がチビデブすぎるのだ。背が、私より十センチは低い。
 そんな失礼なことをお客様にいうわけにもいかないので、私は黙ってかがんでさしあげる。私の唇を舐めるように、舌を這わせる。この人は爬虫類的に舌が長いので、キスは上手いほうだと思う。酷い口臭がなければの話だが。
 そうしたら調子に乗って、いきなり許可もなく、舌を入れてきやがった。
「んんっ!」
「んーゆかりちゃん、ちゅきちゅきー、んー」
 赤ちゃん言葉かなんかしらないが、真剣に頭にくる。そんな私の怒りを知ってか知らずか、強引に私の頭を押さえつけるようにして、さらに押さえ込む。
 もちろん、男性客はベロチューを止めない。ああ、絡んだ舌から私の口におっさんの汚い唾液が注ぎ込まれる。臭い、汚い、気持ち悪い……。
「ん! ぷはぁ」
「あっ」
 私の息が続かなくなって、おっさんの手を払いのけて、頭をはずした。おっさんは不服そうである。こっちが不服だと!
「はぁ……すいません息が続かなかったもので」
「しょうがないなあ」
「それにしたって……もうっ、キスするならするで、せめてブレスケアするとか、歯を磨くとか、あたりまえの口臭ケアをしてくれませんか」
 思わずきつく言ってしまった。
「ほー、お客様にそんな口きいていいんだ。俺は、君の彼氏じゃないんだよ。俺は誰でしょう?」
 私はすぐに自分のミスに気がつく。
「お客様です……」
「だろう、別に俺を彼氏にしたいんだったらそれでもいいんだよ。ゆかりちゃん、結構俺の好みだしさ、もしそうなったら、それなりの対処をしてあげてもいいよ」
 そういって、おっさんはニマニマと笑う。なれなれしく私の髪を弄びながら。また始まった。誰がこんな小汚い中年男を彼氏にするんだ。
「私は、彼氏いますから……お客様でお願いします」
「そうだろう、だから対等じゃないから、やりたいようにやらせてもらうよ」
「ちくしょう……」
「はぁ、なんかいった!?」
「いえ、ご意見ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます」
「よろしい」

 そういうと、男性客は満面の笑みで笑った。
 これで終わりだと思ったら、今度はいきなり掴みかかってきたのでびっくりした。
 なんか私の服を脱がそうと格闘してるみたいだ。相変わらずこの人、いきなりすぎ。
「ちょ……ちょっとまって、むやみやたらに引っ張らないで」
「なんだ……相変わらず脱がせにくい服だな」
 制服をぐちゃぐちゃにされたら、まあ客がやったといえば実費で弁償ってことはないだろうが、チーフに確実に怒られてしまう。
 乱暴にならないように、男性客を押さえ込むのに苦労した。
「……自分で、自分で脱ぎますから」
「そう、だったら早くしてね」
 エレベーターガールの制服は特注でスタイリッシュなのはいいのだが、ぴっちりとしたデザインなので、とても無理やり剥ぎ取れるようなものではない。自分から脱ぐのでさえ、コツがいるのだ。デパートの制服の上と下を剥ぎ取って、私は下着にメッシュのストッキングをつけただけの姿になった。
 こんな格好で、直立不動……惨めだ。
「脱ぎました……」
「ひょー、あいかわらずスタイルいいね。この下着はデパートで売ってるの? レースに花柄をあしらっているのかな、下着姿も可愛らしい」
「ありがとうございます」
 褒められてもちっとも嬉しくなどないが。ちなみにつけてる下着はこのデパートのではない。

「ストッキングを残すところなんか、芸が細かいね。破く楽しみがある」
「……破くんですか」
 普通にあまり脱ぎたくなかっただけなのだが、どうせやられるとわかっていても。
「ほら、とりあえず後ろむいて」
「はい……」
 後ろを向くと、プツンとブラのホックをはずされてしまった。ポロっと、ブラは落ちて、プルンと張りのあるおっぱいがむき出しになる。
「うひょー、デカパイだなぁー」
「でか……って」
 なんて失礼なことをいうのだろう。男性客は、嫌がってる私にかまわず後ろから手を回して揉みしだいている。はぁ……ため息しか出ない。男のこういう反応は慣れっこだからだ。
「こういうの釣鐘型っていうんだよね、見事だな乳輪も鮮やかなピンク色」
「はあ、そうなんですか、どうでもいいです」
 冷たくいってやった。自分のおっぱいのタイプなんて聴きたくもない。それにしたって、デカパイはないだろう。こんなに露骨で失礼な言われ方したことはない。なんか化け物みたいな呼び方じゃない。
「カップサイズは?」
「はあ」
「だから、ブラのカップサイズは、と聞いている」
 私の冷たい声も軽蔑の視線も、人生終わってる系のおっさん特有の自信の前には何の効果もないらしい。心の中で、少し舌打ちして私は素直に答える。
「一応つけてるブラは、J六十五……ぐらいですかね」
 少しさばを読んでみた……、一カップ小さめに。
 胸が標準より、大きすぎるのは、私のとってはコンプレックスなのだ。
 大きいほうがいいっていうが、これで私がこれまでどれほど苦労してきたか。
「ふん……それはすばらしい」
 胸が大きいと、たとえばこういういやらしいおっさんの餌食になるのだ。いやらしい目で、見つめると、さらに私の胸を乱暴に左右に引っ張った。
「痛い、あんまり引っ張らないで」
「これだけのもの、弄ばないともったいないというものだよ」
 男性客は後ろから抱き付いて、しばらくそうやって私の胸を弄んでいた。まったく口惜しい。

「そうだ、こっちを向いて飛び跳ねてみてよ」
「えぇ……なんで?」
「いいから、俺がいいっていうまでジャンプする」
 まったく男性客の意図がわからない。しかし、そういう指示なのでしかたがない。私は洋服とブラを汚れないように、エレベーターの隅っこに置くと、言われたとおりポヨンポヨンとジャンプし始めた。
 縄のない縄跳びみたいな気分だ。
 私が飛ぶと同時に、私の胸もブルンブルン震えた。それをいやらしげに見つめる男性客。ああ、そういうことかと私は気がついた。
 気がついても、私は指示通りこの馬鹿らしい動作を続けて、視姦され続けるしかないのだった。

「ハァハァ……いつまで……やってないといけないんですか」
「もっと笑顔で笑って、ジャンプの勢いが落ちてきたよ」
 もう、結構な時間ジャンプさせられ続けている。
 私は、そんなに体力があるほうではない。
 身体が、汗ばんできた。それでも続けないといけないのかなあ。
 男は、明らかに揺れる私の胸を見ながら、自分のダボダボの服を脱いで全裸になった。やっぱり、あそこがたっていた。赤黒い汚らしい……中年のあそこなんてみたくない。

「ハァ……ハァ……もう、げんかい……」
「はい、ゆかりちゃんもういいよ。ご苦労様」
 そうやって、ニマニマと笑いながら止めてくれた。もうなんでもいい、疲れた。私は、崩れ落ちるように腰を落とした。
「ゆかりちゃんのでっかいおっぱい見てたら、チンコたっちゃったよ」
「ハァ……ハァ……」
 私は、疲れていてそれどころではないのに、目の前の男性客は私に勃起したあれを突きつけてくる。
「ゆかりちゃんのせいで、立っちゃったんだから、なんとかしてよ」
「……なんとかって」
 分かる。きっと舐めろってことなのだ。でも嫌。
「ほら、分かってるくせに」
 そういって、男は強引に私の頭を掴んで、口に突き入れてきた。
「ふぉんな……ふぉういんふぃ」
 間違っても歯を立てて、お客のあそこを傷つけるわけにはいかなかったので、出来る抵抗といえば舌で押し返すぐらい。
「おお、中々の舌フェラテクニックだね」
 そんな意図はない、苦しいだけなのに。
「ふゃめて」
「やめないよ、ほら接客がなってないなあ。チンコ舐めさせてあげてるんだからもっと積極的に舐めてよ」
 こんなのも接客なんだろうか、しょうがないので言われたとおり舐めることにした。不味い生臭い。そりゃ、私だって彼氏もいるから経験あるけど、フェラチオなんてほとんどしたことがないのに。
 私の舌技がじれったかったのか、強引に頭を押さえつけられて、口の中であそこを暴れさせる男性客。もう、フェラチオですらなくなっている。
「ふぉ……ふぁあ!」
「はあ……ごめんねちょっと強引で、とりあえず興奮しすぎて滾ってきたから、一発だしておきたいからさ」
 喉の奥まで突き入れてきて、私は咳き込む。
 それすらも、男性客を気持ちよくさせてしまうようだ。
「けふぉ……ゲフェ……」
「ほら、もうすぐ出すから、ちゃんと飲み込む準備をして」
「!!」
「ゆかりちゃんの口マンコに精子出る!」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 糊のような生臭い液体が、喉の奥から食道にかけて浴びせられる。出すことも出来ず、このままでは息が詰まる。慌てて飲み込むしかなかった。苦しくて、涙が出た。
「……信じられない……飲んじゃった」
「たくさん出したから、全部飲めなかったみたいだね、口から精液が垂れてるのがいいね」
 最悪だった、口に臭い液がたっぷりと。全部おなかの中に入ってしまった。
「うう……酷いです」
「おやおや、教育がなってないな。お客さんのザーメン飲ませてもらったんだから、お礼を言わないといけないでしょ」
「お礼……」
 こんな酷いことをされたのに、御礼をいわないといけないなんて。でも仕事だから仕方がないのか。心にもない笑みを浮かべて、私は笑う。
「ありがとうございました」
「俺のザーメンはうまかったかい」
「……おいしかったです」
 私もエレベーターガールの仕事について結構たってるので、こう答えなきゃいけないってことはだいたい分かっている。いちいち、指摘されても時間が長くなるだけだ。
「いい答え、やればできるじゃないか」
 逆らったら、時間が長くなるだけ。どうせやられるだけなんだから、自分の心を曲げて、せいぜいいい顔でいい台詞をいってやって、男性客を満足させて早く帰ってもらうのが一番いい。顔で笑って、心で泣く。
 それが大人っていう生き物なんだ。
「はい……これで終わりなら服を来て口を洗って来たいんですが。それとも、まだ何かされますか」
 そういって、営業スマイルで笑ってやった。
「おお、なんか吹っ切れたみたいだね」
「おかげさまで、お客様のおかげですわ」
「それでも、まだ足りないなあ……せっかく美味しいザーメン飲ませてあげたんだから、今日は口を洗いませんぐらい言ってもらわないと」
「そうでした……」
 男は、無言で私にまたチンコを突きつけてくる。なんのつもりだろう。
「ほら、やっぱり鈍いなあ。君の口じゃなくて、俺のチンポを舐めて綺麗にするんだよ」
「サービスが行き届かず申し訳ありません、すぐいたします」
 そういうことか……そういうことなのか。私は逆らわずに男のあそこを舐めて、尿道口に残った精液をすすり上げることにした。ここまでやれば、満足だろう。
 仕事と割り切れば、この程度のことはどうということはない。私が綺麗にした刺激で、また男性客のものが、ムクムクと大きくなっていくのが分かった。
「ふう、とりあえず満足」
「満足していただけてよかったですわ」
 頼むから、これで終わって……。
「もう、終わったと思ってるんじゃないだろうね」
 願いは、届かなかったようだ。
「次は、何をいたせばよろしいのでしょうか」
「それじゃあ、中のパンツだけ脱いで、またストッキングだけはいてもらえるかな」
「はい……」
 とても変態的な要求だと思う。この程度のこと、どうということはないのでさっさとしてあげた。脱いだインナーは、すぐ取り上げられた。
「さっき、いい運動したからだな。ゆかりちゃんの蒸れたのにおいがするよ」
「私の下着の匂い嗅がないでください……」
 目の前で自分の下着の匂いを嗅がれるっていうのはなんか嫌悪感がある。
「私の匂いで興奮してくださって、ありがとうございますぐらいのこと言ってくれればいいのに、学習能力がないね」
「すいません……ありがとうございます。存分に嗅いでください」
 もう、これも割り切る。とにかく我慢して、早く終わらせるのだ。

「そうそう、していただいてるって感謝の気持ちが大切だよね」
「肝に銘じます……」
 そうしないと、いつまでも終わりそうにないし。
「じゃあ、四つんばいになってお尻をこっちに突き出してね。今日はいいものをもってきたんだ」
「はい……」
 私が四つんばいになると、なんの断りもなくストッキングの股の部分だけ破り始めた。はあ、これは実費だろうなあ。消耗品だし、高いものではないから、しょうがないとはいえ、仕事で何で私物を破かれないといけないのだと、とても不満。

「今日は、いいもの持ってきたんだ。ジャーン!」
「ば……バイブ」
 振り返ってみると、男性客はペンシル型の黄色いバイブとローションを汚いカバンから取り出していた。
「お、よくバイブって分かったね。これはただのバイブじゃなくて、アナルバイブなんだよぉ」
「はあ……アナルってお尻の穴」
「そうそう、ゆかりちゃんは彼氏いるらしいけど、お尻の穴は経験あるかな」
「ない! ないです」
「そうだろうね、俺はここのデパートのエレベーターガールは全員、お尻の穴を開発することにしてるんだ。未経験なんだ、じゃあ最初からだからちょっと大変だけど徐々に慣らしていくから大丈夫だよ」
 何が大丈夫なのだろうか、あれを入れるつもり。私のお尻の穴に、信じられない。入るわけがない。
「無理です、無理!」
「大丈夫、ほら小さい奴だし、初心者でも安心って取り扱い説明書にも書いてあるから平気だって」
「いや、止めてください!」
「おい、お客に向かってそんな態度でいいのかよ」
 ビシッと怒られて、私はシュンとなった。
「はい……すいませんでした。どうぞ入れたいなら……入れてください」
「ゆかりちゃんは、入れたいの。入れたくないの?」
 そういって、男はニヤニヤとローションとバイブを手に持って笑っている。分かっているのだ、私に入れたいって言わせたいのだ。さっき、ここのエレベーターガールは全員やってるって言ってたもんね。
 私はこの男性客には、逆らわないという方針を思い出して、自分の理性に従うことにした。
「入れてください……」
 そうやっていうと、男性客は口が裂けそうなぐらい気持ち悪い笑みを浮かべて、どうやら喜んでるらしかった。
「そうかー、お願いされたらしょうがないな。じゃあ、がんばって入れてみるね」
「はい……お願いします」
「大丈夫だよ、俺は経験豊富だから。ほら力を抜いて」
「ああ……」
 冷たい感触。ローションをたっぷり付けられて、お尻の穴をなじまされているのだ。男性客はまず指を一本入れて抜き差しした。
「ひゃぁ……」
 まったく経験がない私にはそれでも刺激が強い。
「指一本ぐらいで、そんな声あげてるんじゃ、これ入れたらどうなるのかな」
「ううっ……」
 私は、恐怖で顔を伏せた。壁に手をついて、壁を見ていることにした。
「ほら、そんな顔しない。指がキュって挟まれるよ、怖がって力入れると入るものも入らなくなるから力を抜いて」
「はい……お手柔らかにお願いします」
 なんだろう、まるで注射を待つ子供みたいな気持ちだ。
 男性客は順調に私の肛門をこねくり回し、指を一本から二本に変えて徐々になじませていった。
 経験豊富っていっていたのは、本当らしい。
 私は、もうとにかく力を抜いて何も考えないことにした。

「ゆかりちゃんは、うんこしてるでしょ」
「……いきなり何をいうんですか、普通にしてますよ」
「硬いときもあるでしょ」
「はい……どっちかというと便秘気味ですから」
「そうなんだ、それはよくないね。そういう話じゃなくて、まあペンシル型だし、うんこが通るならこれぐらいの太さなら軽く入ってあたりまえなんだよ」
「そういうもんなんですか……」
「女は赤ん坊産むんだろう、平気平気……それじゃ、バイブいくからね。」
「はい……」
 赤ん坊はお尻の穴じゃないだろうと思ったが、突っ込むのも嫌なので力を抜いて壁をじっと見ていることにした。
 ズブズブっと、まるで後ろから音を立てるように、バイブが進入してきた。あまりの刺激に、私の肛門は思わずきゅっと締まる。
「ああ、途中で止まった。最後まで、力抜けなかったんだね」
「はい……ちょっと待ってください」
「いいよ、初めてだもんね。こんなもんだよ」
「すいません」
「はは、面白い手を離しても、ぜんぜん落ちないよ。肛門の締まりがいいんだね」
「ううっ……」
 私は、恥ずかしくなって赤面した。
「はは、肛門がピクピクしてるよ。じゃあ、最後まで入れるからそのままじっとしててね」
「はい」
 男性客がお尻やお腹をマッサージしながら、バイブを押し付けていくと、まるで自分のお尻の穴ではないように、ゆっくりとだが、ズブズブとバイブが入っていき、ついに最後まで入ってしまった。
「おお、最後まで入ったね。おつかれさん」
「はあ……なんかすごく変な感じですね」
 お尻の穴に、太いマジックペンほどのバイブがすっぽりと入ってしまって、前にも後ろにも進めない感じだ。あまりにも、キツキツすぎてこのお尻を突き出した体勢から動けない、もう自分ではどうしようもない。
「痛くはない」
「痛みはないです」
「これ、バイブだからボタン押すと振動させることもできるんだけどね」
「やめてください!」
「アハハ、俺はフェミニストだから初めての娘にそんなことしないよ」
 喋るオニギリみたいな顔をして何がフェミニストだと思ったが、私のお尻の穴の命はこの男性客に握られてしまっているといっていい、フェミニストであることを祈った。
「お願いだから、振動だけは止めてくださいね」
「お尻の穴はけっこう柔軟だけど、切れたら痔になって大変だからね。入れた後から言うのもなんだけど、ゆかりちゃんはとても健康的な肛門みたいでよかったよ」
 振動だけは、避けられるみたいだ。そんなことされたら、お尻が壊れてしまう。この男性客が極端に暴力的でないことにだけは感謝した。

「じゃあ、そろそろ前の穴のほうもしちゃうかな」
「ああっ、やっぱり今日はするんですね」
 そういうと、男は私のあそこをクンニし始めた。
「するんですねじゃなくて、してくださいでしょ。まあこっちまでローションっていうのは味気ないし、今日はゆかりちゃんだけしかやらないから、時間はたっぷりあるからゆっくり味わってあげるよ、ゆかりちゃんのここ!」
 そういって、私の大事なところにズブッと乱暴に指をたててくる。
「あっ……」
「クリちゃんの皮も剥いてあげようね」
「ひゃあ!」
「綺麗なお豆さんだなあ、吸ってあげよう」
「ひゃい!」
 あまりのことに、足がガクガクとした。
「こらこら、あんまり暴れるとお尻のバイブが抜けちゃうよ」
「すいません……ああっ」
 入れたまま、するつもりなのか。お尻にバイブがぴったりと入っているから、身動きがとれない。
「大丈夫みたいだね、ぴっちり入り込んでるもん」
 そういって、バイブを背を指で押して、さらに肛門に押し付ける。
「うっ……そっちは、やめてください」
 ググッっと中にさらに入ってきて、私は思わず呻いてしまう。痛いとか、気持ちいいとかではなくて、とにかく強烈な圧迫感があるのだ。
「社員教育がなってないなあ……まあいいや、これからドンドン後ろの穴を開発して、もっともっとやってくださいっていうようにしてあげるからね」
「ううっ……ありがとうございます」
 そんな、馬鹿げた会話をしているうちにも、前のほうをやられまくる私。
「そろそろ、いいかな。いいねベットベトになった。結構濡れやすい体質?」
「そんなのわかりません」
「彼氏とは、どのくらいやってんの」
 これは、答えないといけないのか……。
「週に一回ぐらいのペースです」
「こんないい身体してるのに、もったいないよね。俺が君の彼氏なら毎日やるのになあ」「……ありがとうございます」
 とりあえず褒めてくれてるみたいなので、お礼を言っておけば間違いはないだろう。本心を言えば、私の彼氏はお前みたいな獣じゃないと言ってやりたいが。

「よいしょっと!」
「きゃ!」
 ズブッと、私の後ろに覆いかぶさったと思うと、男性客は亀頭を私のあそこに押し付けてきた。
 あまりにも、いきなりだったので、私はびっくりして振り返って睨みつけてしまった。怒りのあまり、お尻の穴に力が入りすぎて、少しお尻がぴりりと痛んだ。早く抜いて欲しい。
「なんて顔してるんだよ……挿入だよ、挿入」
「入れるんなら……」
「いちいち言わないよそんなこと」
 そういうと、バックから狙いすましてズブッと差し込んだ。ちょっとまって、もしかしてゴムもつけないでいれてる!
「ちょっと、ゴムもつけないで入れたんですか!」
「ふふっ、生で入れたほうが気持ちがいいからね」
「そんなぁ、私、危ない日なんですよ」
 この男性客にはこれまでいろいろと性的な悪戯をされてきたが、セックスされるのは初めてだった。だから、まさかここまでやらないだろうって自分の考えが甘かったのだ。
「ふふっ……その台詞は萌えるけど、違うでしょ。ほら笑顔で言ってみな。お礼」
 私は笑顔を引きつらせながら、なんとかいった。
「ううっ……ご挿入、ありがとうございます」
「そうそう、いいねえその笑顔。やる気が出るよ」
 そういうと、ゆっくりと男性はピストンを始めた。
「そんな、本当につけないでやるなんて……」
「俺は、ゴムつけてのセックスなんてセックスと認めない」
 中で、ぐりっと回転させながら強く押し付けてくる。悔しいけど十分にならされた、自分のあそこは感じてしまう。あくまで生物的、動物的に、しょうがなく。
 こんな変な男にやられて心まで感じるわけがない。
「あっ、危ないって言ってるのに……」
「しつこいなあ、君の彼氏とやらとは生でやってないの」
「ちゃんと、ゴムつけてしてくれます!」
「そうなんだ、彼氏は紳士なんだねえ」
 さっき、自分はフェミニストって言ってたのに、お前は紳士じゃないのかと問いたい。というか、それ以前に紳士とかそういう問題じゃないでしょう。どうでもいいから止めて欲しい、怖い。
「私たちまだ社会人になって間もないし、結婚とかもまだ考えてないから、妊娠とかしちゃったら困るからです」
 だから止めて。
「ふーん、生でやったほうが気持ちいいのにね。ああ、ゆかりちゃん。彼氏とはこれからもゴムつきでしてもいいけど、生でやるのは禁止ね」
「わかりました……」
 この男性客にそういわれると、逆らえないのだ。そんなことは、どうせ彼氏とも生でする気はなかったからどうでもいい。
 今は早く止めてもらわないと、妊娠だけは避けないと。
「それにしても、立派な胸だよね。バックでやるとでかさが際立つね。プルンプルンしてる、でけぇなあ」
 そういって、腰を止めて私の胸を両手でしごくように握り締めた。痛みと快楽がない交ぜになって、身体に走る。そして、そのたびに肛門に力が入ってしまって、お尻に強烈な圧迫感がかかるのだ。
 多分、股も締まるのだろう。男性客が歓喜の声をあげて、喜んでまた乳を搾る。しばらくそういう繰り返し……ああ、こんなことで感じている場合じゃない。
「妊娠したら困るんです、ゴムしてくれたらいくらでもやっていいですから」
「ははは……乳搾り!」
「うう……ゴムを」
「うるせえよ、気分でないだろ!」
 また怒られた。それでも、ここはしっかり言わないと。
「すいません、でも中で出さなくても妊娠の危険があるって」
「馬鹿、ここまできて中に出さないわけないだろう」
「そっ……そんなぁ」
 私の顔が見えたら、多分青ざめているに違いない。その瞬間、股間の滾りも肛門の圧迫感も、胸の感覚も消えて、頭がスーッと冷えた。
 頭では、もう望まぬ妊娠に打ちのめされている自分の映像が浮かぶ。
 だいたい、そんなことになったら彼氏になんと説明すればいいのだ。
 駄目だ、絶対に駄目ぇ!

「妊娠して俺の子供を孕めば、このウルトラおっぱいからピューピュー母乳が飛び出るわけだ。よかったなあ」
 私の青ざめた顔をみて、楽しそうに腰を突く。そうしながら、両手でおっぱいをしごく。乱暴に尻を叩く、痛い!
「駄目っ!」
「どうなんだよ、早く言わないと精子出ちゃうぞ!」
 駄目って言ってるのに!
「どうしたら……ううっ、いいんですか……あぁ」
「だから、俺の子供を妊娠するために子種をどこに出して欲しいから言えっていってんだよ」
「だから……どこに」
 妊娠するためにって、そんなの一つしかない。
「早くお願いしろ! お前のマンコがよすぎてもたねえ」
 さっきからむき出しの男性客の亀頭が、私の中でビクンビクン脈打って、一番奥をコツンコツン打ち付けてきてる。
 明らかに限界が近いんだ、こんな奥に密着した状態で射精されたら。
「うあぁ、お願いします。中に出してください」
 駄目なのに!
「はあ、中じゃなくてオマンコって言え!」
「オマンコに出してください……いぃ!」
 そうやっていったら、男性客は腰の動きをものすごい早めた。
「よし、お願いされたらしょうがないな」
「ひゃぁああ!」
「出すぞ! 孕めよ!」
「いやぁああ」
 男性客は、私をギュッと後ろから抱きしめると、おっぱいが破裂するぐらい力を込めて握り締めて、私の一番奥で精液を爆発させた。

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 私は、胸を握りつぶされそうな痛みと共に、一番出されてはいけない場所に出された熱い熱い精液の飛まつをドバドバと感じていた。
「おら、一発目!!」
「出された……出されたぁ」
「またかよ、中で出してもらってありがとうございますだろ、覚えとけ」
「はい……ありがとうございます」
「お前が出してくれっていったんだから、孕んでもお前のせいだからな」
 私はもう泣き出していた。どうしようどうしようどうしよう。それしかなかった。

「じゃあ、次は騎乗位でやるか」
「……まだやるんですか」
 もう出されてしまったので、どうでもいいけど。あーあ。
 私は、もう思考能力が低下して、頭の電池が切れたみたいになっていた。
「俺ばっか動いて疲れただろ、今度はお前が腰を振るばんだろ。寝そべるから、上にのっかれてよ」
「……はーい」
 私は、指示通り上にのっかかると、にゅぷっと挿入して腰を振ってやった。
「なかなか、うまいじゃねーか」
「お褒めに預かり……うっ……光栄です」
「オマンコはいい具合だし、腰はちゃんと自分で振れるし、お前は女として合格だな」
「ありがとうございます」
 お前の女っていうのは、それしか価値ないのかよと思ったが、言っても仕方がないし、言うべきではないし、もうどうでもよかった。後悔しかなかったから。
「しかも、乳がでかいから騎乗位にして正解だったな。乳がプルンプルン揺れるのがよく見えて楽しいぜ」
「ああっ……ありがとうございます」
 もう、お礼だけ言っていよう。そのほうが楽だ。腰を振ることにだけ精神を集中させていた。
 すると、ポロンと何か落ちて、カランカラン転がっていった。
 ああ、お尻に刺してたバイブが抜けたのか。
「抜けたか、少しは穴が広がって緩くなったのかもな」
「すいません……入れなおしますか」
「いやいい、これからアナルも毎朝毎晩欠かさず練習しろよ。そのバイブとローションやるから、それをつかってやれ」
「……わかり……ました」
 毎朝毎晩、オナニーでもないのに、アナルをバイブで広げてる自分を想像してなさけなくなった。そして、それは現実になるのだ。それより大きな問題があったので、そんな小さな羞恥など、もうどうでもいいが。
「乳ばっかに気を取られていたが、お前顔も可愛いな」
「ありがとうございます」
 今頃か。どんだけ乳好きなんだろう、もうどうでもいい。
「アイドルのなんとかってのに似てるよ、タバコと淫行で芸能界辞めた奴」
「ありがとうございます」
 そんな酷いこと言われてもお礼をいう……。
「お前とだったら、本当に付き合ってもいいかもなあ」
 そんな気持ち悪いことを言い出す男性客。誰が、年齢が二桁も上の、こんなおにぎりの化け物みたいな男と付き合うって?
「止めてくださいよ、彼氏だったら絶対こんなことしません。デパートにきてくれているお客様だからやってるんですよ」
「そうだったな。お前彼氏には騎乗位やってあげないのか」
「…………そりゃ、やるときもありますけど」
 彼氏の話をするたびに、思い出して胸が痛くなる。仕事だから、しょうがないけど彼がこれを見たらなんていうだろう。
 裏切りだよね、酷いよね、私馬鹿だよね。
 そうして、そんな私の顔色をちゃんと伺っているこの男性客はやっぱり鋭く酷い。
「お前こういうとき、彼氏にどういうキスをするんだ、俺にやってみせてくれよ」
 面白がって、彼氏のネタで遊ぶ男性客が憎らしい。
「わかりました」
 それでもやってやる、抵抗しないのが一番なんだ。もうめちゃくちゃなんだから。
 彼氏にするように、愛がこもった濃厚なディープキスをたっぷりしてやった。
 舌を絡めて上から唾液をこれでもかこれでもかと、送り込んでやった。いつもより激しいぐらい。
 ご要望なんだから、これでいいでしょう。
「ふぅ……すごいな、彼氏がちょっと羨ましいわ」
「ありがとうございます……」
「今は俺が……恋人だけどな」
「恋人じゃなくて、お客様です」
「お客様を恋人のように接客するのがモットーなんだろ」
「……どっかの消費者金融ですか」
 そう思わず突っ込みながらも、そうしないといけないんだろうなというのは分かった。エレベーターガールになってから、私はそれを、ずっと分からされ続けている。

「かがんでおっぱい吸わせろ」
「また胸ですか……はい」
 腰を押し付けて、おっぱいを顔に持ってくる。そうすると、男性客はまるでなにかに取り付かれたように左のおっぱいを弄び、右のおっぱいをすごい勢いで吸った。跡が残るぐらいに。
「乳頭にキスマークがついてしまったな」
「強く吸いすぎですよ……」
「お前、本当にいい乳だな。エレベーターにしとくのがもったいないぐらいだ」
「ありがとうございます」
 もうお礼言うのすら、疲れてきた。私は、どっちかというと持久力がないほうなのだ。
「もうすぐ、この立派な乳からおっぱいが出るんだけどな」
「……うっ、言わないでくださいよ」
 実際、こうして生まれて始めて自分の中で出されてみると、酷く汚された感があったが、本当に妊娠するようなリアリティーというのはあまりない。こうして絶望に追い落とされて、身体のスイッチを半ば切って機械的に動かしていると、もう物事がどうでもよくなって、ただ疲れている。
 危険日といっても、排卵期の只中ではないはずだ。世の中には不妊に困ってる人もたくさんいるそうだし、もしかしたら、運良くできない可能性もあるはず。
 たぶん、望まないセックスをした女性というのはこんな風に、あるいはとか、もしかしてとか、自問自答を繰り返して、一喜一憂するのだ。
 これが終わったらしっかり洗浄して、あとは。
 次の生理日が無事に来るまで。無事を祈り続けるしかない。
「ゆかり、俺のこと好きだよな、愛してるよな」
「……うーん」
 どう答えたらいいんだろう。嘘付いて、はいって言ってしまえばよかったのに。そのほうが楽なのに。
「お前は、愛しても好きでもない男の子供を孕むほどふしだらな女なのか。違うだろう、だからお前は、俺のことを好きで愛してるでいいんだよ」
「はい……お客様のことを好きで愛してます」
 ほら、こういう念の押し方をされるたびに、まるで自分の意思でいっているみたいな形になってどんなに押さえつけても、心がズキズキと痛み出す。
 それぐらいなら、心を偽って営業スマイルを浮かべたほうがどれだけ楽だろう。そう主って私は笑う、今度は上手く笑えた。
「いい笑顔だ、いい子供を産もうな。そのためにも腰をもっと動かせ」
「はい……ハッハッ……、ふっ……あっ……」
 私は、ちょうど男性客の不恰好に突き出た毛の生えた汚らしい腹の辺りを見つめながら、ただ息だけ吐いてがんばって腰を振る。もう体力がきついのだ。
「息があがってきたか、お前のマンコがいいからもうすぐだ、がんばれがんばれ」
「ハッ……がんばります」
 たまに私の腰の動きにあわせて、下から突いてくれる。
 そうとおもったら、乳頭をつまんでギュッと下に引っ張ってきたり邪魔もするのだ。
 それで、腰の動きを思わず止めると怒るくせに。
 男性客のものも、また脈打ってきてどうやらもうすぐ終わりそうだった。この悪夢も。
「おい、ゆかり。お前の彼氏なんていうんだ」
「ユキヒロ……ですけどぉ」
 必死になって腰振りに集中しているときだったから、不意に答えてしまった。考えている余裕はない、早く終わらせるためにも……腰を……あっあっ。
「よし、彼氏の名前叫べ」
「ユキヒロ! うぅユキヒロぉー!」
 名前を叫んだ瞬間に、酷い罪悪感と何故か快楽がない交ぜになって私を襲った。
「愛してるっていえ!」
「ユキヒロぉー、愛してるぅー!」
 その瞬間、なぜか私の腰は自分でも考えられないほどよい動きをした。私の頭はおかしくなって、身体は馬鹿になったみたいだった。
「あは、これは気持ちいい」
「ああっ、ユキヒロ、ユキヒロ、いくっー」
 彼氏の名前を叫んでるうちに、どうでもよくなって私は真っ白になってしまった。自分でももう何をいっているのか分からない。
「ところが、どっこいお前は俺の子を孕むんだよ」
「いやぁーーー!」
 男性客が、私を抱き寄せるようにして下から掴むと、落ちた私をしたからギュッと抱きしめて、私の唇を舐めるようにキスをした。その瞬間に、中で彼の二度目の射精が爆発するように弾けた。

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 私は出されると同時にいってしまったし、身体は気持ちよかった。
 男性の三度目とは思えない激しい射精が中で破裂したとき、私はすごく感じた。
 それは認めるしかない。それでも、彼氏の名前まで一緒に汚されたような、酷い罪悪感が私の心を打ちのめした。
 そして頭が冷えた私は、危険日に入っている子宮にたっぷりと、男性客の汚らしい精液を注がれてしまったという悲惨な事実を目の前にする。
 まだ男性客が未練たらしく、出し入れしている中、ドロドロと中で出された精液と愛液の塊が私のあそこから床に零れ落ちていく。
 あまりの酷さに、私はいつのまにか、嗚咽して泣いていた。
「なんだ気持ちよすぎて、泣いてるのか」
「うっ……うっ」
「お礼は……忘れるなよ」
「中だし、ありがとうござい……ました」
「よし、よく出来た」
 私は、疲れと嗚咽で身動きできなかった。その間、下からずっと男性客に抱きしめられていたのだった。
「うっ……うっ……」
「よし! どけ」
 泣き続ける私をよそ目に、男性客はさっと立ち上がるとするすると服を着て立ち上がった。着やすい服みたいで、最低ファッションだがその点は羨ましい。
 私も、泣いていてもしょうがないので、よろよろと立ち上がってとりあえず自分の服を掻き集めた。
 予想通り、男性客はなんの断りもなく勝手にパネルを操作して一階につけようとしている。自動停止が解除されて、ググっと動き始めた。
「終わりなんですね……」
 私は、とりあえず掻き集めた服を焦って来た。裸のまま、一階のエレベーターホールに飛び出すなど自殺行為だ。
 音を立てて、一階に到着する。
「一階でございます、本日は当デパートのご利用ありがとうございました」
 この台詞だけ、反射的に口から出る自分が悲しい。
「ふむ、気持ちのいいサービスだったよ。今日からしばらく、ゆかりちゃんをごひいきにすることにした。また来るからね」
「またのご利用をお待ちしております」
 心とは裏腹に反射的に台詞がでる、自分の声が悔しい。

 エレベーターは一階に止まったまま。私がここで停止させたのだ。普段、一階で停止させることなんてありえないけど、あの男性客が来たときは別。
 あの男性客が降りてすぐ、他の客が乗ることはありえないのだ。
 どんなに客が混雑している休日であってもだ。

 さっき、あの男性客が今日は私だけって言ってたからチーフに連絡すれば、すぐ交代を出してくれるだろう。
 そう思って備え付けの無線で連絡してみると、案の定すぐ交代を出すから、休憩室に戻っていいといわれた。
 どっと疲れて、私は自分の職場である箱の中を見回す。慌てて服を着たので、帽子とか破れたストッキングとかが散乱している。
 客が乗ってこないにしても、これは恥ずかしい。不思議なことに、たとえ客がぜんぜんこっちを見ていなかったとしてもである。

「やっぱり、エレベーターガールの仕事って辛い。どう考えたって辛すぎる!」

 そう思いながらも、私はびりびりに破かれたストッキングを拾い集めて、床に落ちた精液を拭いた。そして、汚れたストッキングでお尻に刺してたバイブとローションのビンをくるむようにして拾う。
 死ぬほど気が進まないが、これから毎朝毎晩これが刺せるように練習しないといけない。これからの日々を考えただけでも泣きたくなる。

 そうこうしているうちに、同僚の娘と一緒に清掃係の職員まで来た。
 エレベーター内の汚れを落とし、匂いなどの痕跡も消すのだろう。さすがチーフは、連絡の手際のよいことだ。
 私はもうそんなことにかまう余裕もなくて、悲痛な面持ちでこちらを見ている交代の娘にお礼だけ言うとボロボロの格好のままで、他の職員に哀れみの目で見られながら、休憩室へと駆け込んだ。

……休憩室……

「ああ、ゆかりさん。どう身体の具合は」
 私は急いで備え付けのシャワーを浴びて全てを綺麗にしたあと、何もする気力が起きずに、たった一人で、休憩室のソファーに寝そべっていた。そうしたら、様子を心配してかチーフがやってきたのだ。
 エレベーターガールのセクションチーフは、磯辺美幸という女性で二十八歳の若さで、本人も実務につきながらエレベーターガールたちのシフト管理もこなしているなかなかの切れ者だった。
 エレベーターガールのセクションに回されてきて、まだ日が浅い私も美幸チーフのお世話になっている。頼りになるお姉さんなのだ。
「うぅ……うわーん、チーフぅ!」
 私は、チーフにすがりついて泣いた。あまりの衝撃にさっきから、休憩室で一人で泣いて泣いて泣きじゃくっていたのだ。さっきは、他の職員やお客さんの眼もあったから我慢したけど。
 だって、犯された挙句に中に出されるなんて、あんまりにも酷いじゃない。これまで性的な悪戯はいろいろされてきたけど、あそこまでされるとは思っていなかった。私の考えが甘かったのだ。
「あの男性客に酷いことされたみたいね」
「チーフ……私、中に出されたんですよ……酷いですよ」
「そう……今日は危ない日だったの?」
「はい、私もう、どうしたらいいか……」
「あらかじめ通知してあるけど、あの男性客の要望で、医学的な避妊や中絶などの処置は全て禁じられているわ」
「ううっ……それ聞いたとき、こんな意味だとは知りませんでした!」
「これも、仕事のうちと諦めることね」
「そんなあ……」
 目に見えて落胆する私に、悲しげに視線を向けて、ため息をついてから、美幸チーフは静かにこう尋ねてきた。

「ねえ……ゆかりさん。私のお腹、ちょっと出てきてると思わない?」
 そういえば、最近少し美幸チーフのお腹が出てきたのは気になっていた。
 エレベーターガールの制服は身体にフィットしたデザインだし、私と違って美幸さんはとてもスレンダーなタイプの人だから、その余計にぽっこりと。
「そういえば、そのほんの少しですけど、たしかに……」
「あのね、私……妊娠してるのよ」
「あっ……おめでとうございます」
 突然のことに、そういうしかなかったが。私の言葉に、美幸チーフは顔を歪めた。
「何がおめでたいものですか。中に入っているのは、あの男性客の子供よ」
「えっ……」
「私もあの男性客に犯されて妊娠したの。逆らえないものね。他の娘も、みんなやられてるわ」
「えっーーー!」
「ほら、去年入った真由ちゃん。もう臨月で出産間近なのに、まだ仕事してるでしょ」
「何か事情があるんだろうと……」
「その事情が、あの男性客よ。生まれる寸前まで、仕事を続けるように強制されてるの」「そんな、あんまりにも酷い!」
「もしかしたら、エレベーターの中で産ませるつもりなのかもしれないわね」
「ありえない……」
「これが、エレベーターガールの仕事よ。辛いだろうけど、耐えるしかないの」
 そうやって、厳しい顔で上を向いて、下唇を噛み締めている美幸チーフの顔を見て、私はいつまでも泣いているわけにはいかなかった。チーフも私と一緒で泣いているのだ。ただ、涙を見せないだけで。
 それにしても、私はこれからどうなってしまうのだろう。


 ――中篇に続く
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短編「貸してください」
 あるマンションに私は住んでいた。名前は小崎エリ、今年で二十三歳になる。ごく平凡の家庭に育って、ごく平凡な大学を出て、ごく平凡に事務員として働いている、どこにでもいるような女の子だ。
 もう社会人なので、女の子なんて自分でいうのもちょっと抵抗があるけど、まだ社会人としては新人なので、可愛いといってくれる人もいるのだ。私は、自分にどこにもとりえがないとおもうけど、そういってもらえるもう少しの間だけ、女の子気分で居させてもらってもいいかもしれない。
 それはよく晴れたある土曜日のお昼のことだった。呼び鈴がなったので外に出てみると、男の人が立っていた。背広を着た、営業のサラリーマンという風体。三十五歳ぐらいだろうか、職場の上司にちょっと似ていた。上司に似ていたということは、つまり……その、言いにくいけど、あんまりかっこよくないってこと。訪問販売かなにかなら追い返そうと、身構えているとこんなことをいう。

「トイレを貸してくれませんか」

 なんか、悪い人にはとても見えなかったので中に入れてあげた。押し売りなら困るけど、トイレを貸すぐらいは別になんてことはないだろう。急にお腹が痛くなって困っていたそうだ、可哀そうに。とりあえず、トイレを貸してあげるとすぐトイレから「ブリブリブリブリブリ!」と豪快な音が聞こえてきた。あらあら、よっぽど切羽詰っていたらしい。
 それにしても……男の人ってなんで、流して音を誤魔化したりしないんだろうか。
 そんなことを考えていると、男がすっきりした顔で出てお礼を言った。
 いいことをしたなあと考えていると、男はこんなことをいう。

「喉が渇いたので、何か飲み物を貸してくれませんか」

 飲み物ね……冷蔵庫を開けてみる。お茶とお水があるけれども、どっちがいいかと聞こうと振り返ってみると、いつの間にか後ろにいて冷蔵庫を覗き込んでいたのでびっくりした。

「あ、ぼく……このビールがいいなあ」
「えー、これは私が休日の夜の風呂上りに飲もうと思って楽しみにしているビールなんですよ。一本しかないから、それはちょっと……」

 安物の発泡酒じゃなくて、ギネスビールなんですよ。社会人になって覚えた小さな贅沢というやつ、勤労のご褒美的なもので、ささやかだけど、もうそれはそれは大事な一本なのだ。だから、悪いけどお茶か水にしてくださいって言おうと、口を開きかけたら、こんなことを言われた。

「くださいってわけじゃなくて、貸してくださるだけでいいんですよ」

 貸すだけ、つまりいつか返ってくるわけか。それならいいと頷いた。

「プファー、旨いなあ。こんな暑い日はビールに限りますねえ!」
「そうですねえ……」

 男は旨そうに喉を鳴らしてビールを飲み始める。私はなんか悔しいので、一緒に水を飲んだ。まあ、冷たい水もおいしいといえば、おいしい。

「喉を癒したら、お腹が空いたなあ。なんか食べるものはありませんか」

 男は、明らかにさっき私が作った台所においてあるパスタを見ている。これは駄目、たくさんあったらいいけど、一人分しか作ってない。材料も麺がないからもう一人分作ることもできない、朝の残りのパンだったらあげてもいいけど。

「貸してくださるだけでいいんですよ」

 まあ、貸すだけなら返ってくるからいいかと、スープパスタをよそって男に食べさせてあげた。男は美味しい美味しいと言って食べている。褒めてもらえると少しうれしい。そりゃ美味しいだろう、今日は休日で時間があったからスープも出汁からきちんととったし、パスタもアルデンテだ。料理全般が得意ってわけでもないんだけど、こういう簡単なものを作らせたら、結構自信がある。酒のつまみにもなるし、最高だろう。
 私もお昼の時間だし、お腹が空いてきたので、男に全部食べさせてしまって、何もなかったから朝の残りのパンを焼いて食べた。お腹が空いていたら、こんなものでもおいしい。

「お腹もいっぱいになって満足だなあ……」
「それはよかったですね」

 たまの休みだというのに、なんとなく憂鬱なお昼である。

「そうだ、パンツを脱いでくれませんか」
「はぁ……はぁ!?」

 あまりにも不可解なことを言われたので、男がなにを言ったのか理解がおいつかなかった。パンじゃなくて、パンツっていいましたか……。

「パンツです、最近はインナーっていうのかな。下半身に穿いてる下着のことです、いま穿いてるやつ。もちろん、くださいってわけではなくて、貸してくださるだけでいいんですよ」

 まあ、貸すだけならいいような気がする。脱いでと言われたから、タンスから適当な下着を出して渡すわけにもいかないようだ。

「あの、でもデニムを上に穿いてるわけでして……」
「じゃあ、デニムジーンズも貸してください。ああ、面倒だから上の服もブラも付けてたら、全部貸してください」

 ちょっと、口ごたえしてみたら、着ている物をみんな脱がされてしまった。また今日に限って、蒼のデニムに濃い紺のシャツという色気もへったくれもなく、脱ぎやすい格好だったのだ。今日は出かける予定もなかったし、休日は女の子だってこんなもんなんですよと誰に言うでもなく言い訳してみる。
 はぁ……下着も恥ずかしいぐらいに安物だなあ。人に見られるならもっとマシなのをつけてればよかった。もしかすると、裸を見られるより恥ずかしいかも。上下セットで九百八十円の子供用とおばさん用の下着を足して二で割ったような白い綿パン……新しいので洗濯でよれてないのと、色が揃ってることだけが救い。

「パンツはシンプルでも十分魅力的だと思うけど、ブラはもっと可愛いのつけたほうがいいかもね」
「それ上も下も、一緒の安物メーカーのやつですよ。安いからってこともあるんですが、ブラのサイズが若干大きいので種類が多くなくて余計に……」

 やっぱり、おじさんが見ても可愛くないって分かっちゃうかと落胆。

「おっぱい大きいね、君の名前、小崎エリちゃんだったよね、可愛いね……」

 何で私の名前知ってるの、ああ玄関の表札みたのか。おっぱいだってEカップで自慢になるほど大きくないし、スタイルだってそんなによくないし、特に可愛くないですよ。なんか、とにかく恥ずかしかったので胸を両手で隠した。

「いまから、ぼくも裸になるけど、君に貸してもらったパンツでオナニーするだけだから、気にしないでね」
「はい、わかりました」

 別に、貸したものをどう使おうとこの男の人の勝手なのに。いちいち礼儀正しい人だなあ。そう思ってたら、目の前の男はスルスルと背広を脱いでいった。ああそうか、何も言わないで脱ぎだしたら、私がびっくりしてしまうかもと気遣ってくれたんだな。もちろん、事前にそうやって言われたので私は驚くことはなかった。

 男のあそこは下品な言い方だけど、ビンビンに立っていた。別に、私も男性と付き合った経験は何度かあるし、キャーと叫んで顔を隠すほど子供じゃない。女性の裸を見れば、男は勃起してしまうものなのだと知っている。自分より一回り以上離れた年齢の男の裸なんて、あんまり見たことがなかったので、見ない振りをしながら、逆にマジマジと観察してしまう。
 やっぱり、お腹でてるなあとか、毛深いなあとか。そして、あそこのサオの大きさは、元彼とおんなじぐらいの大きさだった。シワシワの玉袋が、ちょっと元彼より大きいかもしれない。でも、それよりも、あそこの色が……元彼よりすごく綺麗なピンク色なので少し驚いた。女の子の乳首と一緒で、おじさんだから黒いとか、若いからピンクとは限らないものなのだろう。

「エリちゃんのパンツ……いいにおいだねえ」
「うっうっ……あんまり、嗅がないでください……」

 男の人は、私のパンツを裏返してよりにもよってオマンコに引っ付いていた部分を嗅いでいる。これはちょっと、酷い変態プレイなのではないだろうか。どう使おうが、いまは、この人の勝手なのだからしょうがないのだけど。
 ここは高層マンションなので、下着ドロにあうことはない。でも外に干さないけど、風で飛んでちゃうかもしれないから。
 そういえば、だいぶ前に、学生寮に居たとき友達の下着が盗まれたことを思い出した。大騒ぎしたんだけど、結局見つからなかったんだよね。あの子の下着も、やっぱり下着泥棒とかに盗まれて、いま目の前の男の人がしてるみたいな遊びに使われたのかなあ。

「あ……なんかお股の部分に湿り気が……少し濡れてるよ」
「汗です、きっと汗!」

 そういって、ペロペロと舐め始めた。そこまでやるのか……なんか、すごく複雑だなあ。たぶん、この人に貸していなかったら、嫌悪感で我慢できなかったに違いない。

「いい、エリちゃんのパンツいい匂いだ……」
「……なんだかなあ」

 男の人は、自分のちんこの先っぽに私の下着のちょうど、あそこのあたる布の厚い部分をこすりつけ始めた。ああ……なんかすごく嫌な感じがするけど、しょうがないよね。いま、あの下着私のじゃないし。

「ふう、すごくいいよエリちゃんのパンツ。これだけで射してしまいそうだ」
「それはよかったですね」

 もう私は、どうにでもしてくれって気になってきた。見ない振りをして、気にしなければいいのだ、あの下着はいまこの人に貸してるから私のじゃなくてこの男の人のやつなんだから。

「でもせっかく、エリちゃんに裸になってもらったんだし、何かしないとなあ」
「お気遣いなく……それに裸になったんじゃなくて、服を全部貸してあげただけなんですからね。そこのところを、間違えないでくださいね!」

 そこだけは、きっちりとしておかないと。誤解されては困る。男性の目の前で裸になるなんて、まるで私が目の前の男性に気があるみたいじゃないか。そうじゃなくて、ただ服を貸したら結果的にこうなってるだけに過ぎないのだということを分かってもらわないといけない。

「ああ、ごめんごめん……そうだなエリちゃん、おっぱい貸してくれない?」
「おっぱいですか……貸すだけですよね?」
「うん、もちろん貸すだけ」
「じゃあいいですよ、はい」

 そういって、胸を目の前の男の人に向けて突き出した。ほんとは取り外して渡してあげられればいいんだけど、胸は私にくっついてるのでさすがに取ったら死んでしまうのでそれはできない。
 男の人は、下着にあそこをこすりつけるのをやめて、おっぱいをポヨポヨとやさしく触りだした。ふうん、そんなじれったい触り方をするんだ……。

「たゆんたゆんだね、エリちゃんのおっぱい」
「私のじゃないです……いまはおじさんに貸してあげてるんだから……はぁ、おじさんのなんですよ」
「そうだった、ぼくの貸してもらったおっぱいは、さわり心地がいい。乳首なんて綺麗にピンク色で、ほらこうして刺激すると立っちゃったりなんかして」
「はぁ……んっ……」

 私は、ぞわぞわと背筋から競りあがってくる感覚を必死に耐えて口を痛いほどに閉じた。触られているのは、私のおっぱいじゃないんだ。いまは目の前の男の人のおっぱいなんだから……。

「あれ、もしかして我慢してるの?」
「そりゃしてますよ、ふぅん……私のが触られてるんじゃないですもん」
「あのね、よく聞いてね。たしかに、おっぱいはぼくがいま貸してもらってるけど、ちゃんとエリちゃんにくっついてるでしょ。だからエリちゃんは触られて、気持ちよくなってもいいんだよ」
「そうなんですか? そういうこととは知りませんでした」

 私はまたひとつ賢くなったようだ。じゃあ、遠慮なく感じてもいいわけね。

「ふっ……はっ……んっ……」

 男の人は、変態だけど揉みかたはうまかった。五分ぐらいだろうか、ちょっと私も真剣にやばくなってきたころ、揉む手の力が弱くなってすぐ片手になった。なんだろうと思ってみると、また目の前の男が私のパンツでチンコをこすり始めている。

「ハァハァ……エリちゃん……パンツ……いくぅー」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!

 ドクドクと私の下着の股の部分にたっぷりと射精してしまったようだ。あぁ、材質が綿なので、すっかりしみこんで汚れてる。もうあの下着は使えないよね。まあいいか安物だもんね。
 男がオナニーするのって始めてみた。もしかすると、珍しい経験をさせてもらったのかもしれないと前向きに考えることにする。二度目はいらないけど。

「ふぅ……たっぷり出たぁー、ありがとうエリちゃん」
「いえいえ……どういたしまして」

 こんなことでお礼を言われても困る。もう、こういうしかないではないか。

「じゃ、今日はこんなところで、ああエリちゃんにおっぱいと、下着と上の服を返すね。貸してくれてありがとう」
「返してくれるんですか、ありがとうございます」

 やっぱり、悪い人ではなかったようだ。おっぱいと、下着と上着を返してくれるって。私はおっぱいを自分の手で触って、戻ってきたことを確かめる……やっぱり、自分の身体が人のものになってるって落ち着かないものだもんね。

 男の人は、私がそんなことをしているうちに、すばやく背広を着て、私の服を綺麗に並べて目の前のテーブルに洋服を置いてくれた。意外と、几帳面な人なんだなあ。

「いつまで裸でいるの?」
「ああ……そうだ」

 私はブラをさっと付けて、上着を着て……インナーはドロドロになっちゃったからどうしよう……そうだタンスから新しい下着を……

「ちょっとまった!」
「はい?」

 私が、新しいインナーを取り出そうとすると男の人がストップをかけた。

「どうして、返したのに穿いてくれないの?」
「どうしてって……あの、あなたの液でドロドロになってますから」
「返したら、ちゃんと穿くのが礼儀でしょう」
「えー、そうなんですか……それはすいません……なんか……」

 礼儀であるのなら仕方がない。男の人に怒られてしまった。でも、なんか嫌だなあ……でも男の人がジーと見てるからいつまでも下半身裸でいるわけにもいかないし、そっと穿くことにした。ああ、生暖かい……ドロドロする……気持ち悪い。下の毛に精液がこびりついたら、あとで取るのが大変だ。
 昔、彼氏とお風呂場で勢いでしちゃって、精子がお湯で固まって大変なことになったことを思い出した。掃除するの私だし、あれ面倒なんだよね。
 そして、礼儀であるのでその上からデニムも穿いた。ああ、このデニムはお気に入りなのに、内側にべっとりと……こっちは洗濯したら使えるかなあ。いややっぱり、捨てちゃうしかないかな。
 男の人は、そんな私の様子をとても嬉しげに見ていた。

「じゃあ、今日は帰ります。明日も、エリちゃんお休みですよね」
「はあ……はい、そうですけど」
「家には居ますか」
「特に用事ないですから、多分……あーでも夕方には出かけるかも」

 なんか、女の一人暮らしで彼氏もいないと、休みに予定もないみたいな感じが恥ずかしいので、こう言ってみただけ。夕飯の買い物ぐらいだろうな多分。いいんだけどね、最近は慣れたといっても、仕事疲れるから、休日はゆっくり休みたいだけだから。でもやっぱり……今度、友達と遊びに行こうかなあ。

「お金貸してくれますか?」
「はあ、お金ですか……いま給料日前なので、現金では五万円ぐらいしかないですが」

 ちゃんと返してくれる人みたいだから、貸しても良いけど、こっちも当座の生活費があるから。給料日まで一週間弱……せめて、一万円ぐらいは残して欲しいな。

「貯金ってどのくらいあります?」
「たぶん銀行に百万ぐらいは……」
「あー、そんなもんなんだ。やっぱり勤め始めたばかりのOLさんって感じだもんね」
「銀行にいったら下ろせないこともないですけど……」
「いいんですよ、私は貸してもらうあてはたくさんありますから。とりあえず、タクシー代の一万円だけ貸してくれませんか」
「あー、それぐらいならどうぞ」

 財布から一万円を出す。これぐらいで済んでよかった。

「じゃあ、今日のところはこれで、また明日来ますね」
「ええ……はい?」

 それだけいうと、男の人は帰っていった。なんだったんだろう、トイレを貸してもらいに来て……いろいろ貸して……その一部を返して……明日も来るの……なんで? 
 ああ、そうだ今日貸したものを返しに来てくれるつもりなのかもしれない。やっぱり、いい人だなあちゃんと返してくれるのだから。
 私は、どっと疲れてしまってしばらく呆然と椅子に座ってテーブルに持たれかけていた。そして、ほどなくして元気を取り戻して、買い物に出かけることにした。家に何も食べるものがないと、困るから。


 ……翌日、お昼前……


 朝寝ができるのは休みの日の楽しみだよね。こうやってまどろめる時間が貴重なのだと、社会人になってつくづく思い知らされた。結局、この日も私はうだうだとしているうちにお昼前になってしまった。どうせ予定がない寂しい女ですよ。

 呼び鈴が鳴る。扉を開けてみると、あーやっぱり、昨日の男の人だ。

「ほんとに来たー」
「こんにちわー、トイレと飲み物と食べ物とその他もろもろを貸してください」
「はあ……」

 来るかどうか、半信半疑といったところだったのだけど。ネクタイだけ変わってるけど、昨日と同じ背広をきた男の人がやってきた。
 来てしまったからにはしょうがない。そう来るのは、予想していたので、安物の発泡酒を二本を入れておいて、マカロニのグラタンを多めに作ってみた。
 それにしても、この男の人はなんで毎回来るときトイレに駆け込むのだろう。すっきりという顔で出てくるとやっぱり悪い人には見えない。何か言うかと思ったら、何も言わずに発泡酒を一杯飲み干して、グラタンを旨そうに食べていた。好き嫌いはないらしい。私もお腹が空いたので無言で食べる。なんだろうこの空気は……それでも、お腹がいっぱいになったらそれなりに満足している。

「はぁー、お腹いっぱいになりました」
「それはよかったですね」
「じゃあ、いま着ている上着と下着を全部貸してくださいね」
「はい、いいですよ」

 やっぱりそうきたか。昨日は不意を突かれて、生活に疲れた女のダルダルファッションだったが、今日は服装に抜かりはない。部屋で着飾ってると思われても恥ずかしいので、普段着を装いながらも、身体のラインがすっきりと見えるタンクトップに昨日よりもかっこいいデニムで、外に出ても恥ずかしくない服装にしてみたのだ。
 ちなみに、髪だって昨日はちょっとぼさってただろうけど、今日は綺麗に櫛を通してカラーリングもばっちり。薄化粧も、ちゃんとしてるんだよ。
 そして、ゆっくりとそれを脱ぎとって、下着姿を見せ付けるようにする。

 どうだ…………あれ?

 うおーい、なんで今日は、下着をスルー? この男の人は下着フェチの人じゃなかったのだろうか、賞賛のコメントは?

 見られても恥ずかしくないように、綺麗な編みこみとレースの入ったライトパープルの勝負下着なのに。これだけ可愛かったら、褒められてもおかしくないのに……むうぅ。
 結局、何も言ってくれないので諦めて、下着も脱ぎとって服と一緒に渡した。私は微妙に落胆して、裸になって、胸と下を手で隠すようにして立ち尽くす。
 男は下着を掲げて、ようやく口を開いた。

「今日は、可愛い下着ですね……」
「脱いでから、褒めないでください」
「すいません気がつかなくて、今日は下着メインじゃないんですよ」
「じゃあ……何メインなんですか」
「中身メインなんです、今日は」

 なんとなく、不穏な空気が漂ってきて、私は寒い季節でもないのに寒気を感じた。

「それじゃ、今日は身体全身を私に貸してください」
「いいですよ」

 昨日は、身体の一部を貸したのだし、全部を貸しても問題ないような気がした。くださいとかいわれたら困るけど、貸すだけなら返してもらえばいいから。この男の人には、まえにおっぱいを貸して、返してもらっているから、その点では信用できる。

「じゃあ、えっと……ベットは? いつもどこで寝ているんですか」
「部屋の奥に、折りたたみ式のベットがあります」
「じゃあ、それも貸してくださいね。そこに寝そべってください」

 私は、言われたとおりに裸で寝そべっていた。私は、寝るときも服は着ているので普段寝ているベットでも、一糸まとわぬ姿で眠らされると、なんだか身震いする……。

「胸、揉みまくりますね」
「……ふう」

 男の人は、私の胸になにか恨みでもあるのだろうか。そんな勢いで、長時間おっぱいだけを揉みまくられて、触りまくられて、乳頭だけ責められて、甘噛みされて。

「ああ、そんなに強く吸われたら跡が残ってしまいますよ」
「ごめんね……でも、見えない場所なら問題ないでしょ」
「それはそうですけど……代わりに、首筋とかはやめてくださいね」

 最近は暑くなってきて薄着だから、首筋にキスマークでも付けられた日には、同僚にどんな勘違いをされるか分かったものではない。男性の上司とかは気がつかないかもしれないが、女性同士は結構鋭いものなのだ。
 やめてといったせいなのか、男の人はこんどは舌を私の身体に這わせて、首筋からうなじにかけてを舐め取っていった。そんなところをそうされると、身体が震えて声が出てしまう。ゾクゾクする。胸なら、けっこう責められなれてるから耐えられるのに。
 そう思ってたら、また胸に移行。もう胸だけで一時間ぐらいやってないか、どうして男の人はこんなに胸が好きなのだろう。人間としての本能、赤ん坊のときずっとおっぱい吸ってたから?
 その割には、私は女だから胸には興味がないんだけど。特に自分の胸には。そういや、学校とか会社の先輩とかで、よく他の女の子の胸触る人いるなあ。でも、あれはそういうのとはまた違うよね。

 頭ではそんなことを考えいてる間も、男の人は私の身体をじっくりと弄んでいる。いや、いまは私の物じゃないからいいんだけど。やっぱり少し嫌悪感があるから、あんまり意識しないようにして別のことを考えるようにしているのだ。
 おじさんが顔を近づけてきて、あーやっぱりするだろうなと思ったらやっぱりキスしてきて、口付けるだけでは当然すまなくて、ディープに移行、舌を絡めるようにして唾液の交換。素直に応じてあげる。

「おいしいね……エリちゃんの唾液」
「よかったですね……」

 これが好きな彼氏とかなら、嬉しいんだけどな。会社のへっぽこ上司に似た顔をまじかに見て、舌を吸うように唾液を吸われて、上から唾液を流し込まれて……息が少し臭いんだよなあ。ブレスケアしてほしい……。
 それでも、執拗にやられてるとそういう嫌悪感もどうでもよくなってくる。いまは、私は目の前の男の人のモノなのだ。何も考えないで、身を任せたほうが楽かもしれない。
 それにしても長い……これがセックスになるかどうかもわからないが、冷静に見ると前戯っていうのはけっこう滑稽なものだ。私は、自分が身体を重ねているにもかかわらず、なにか他人事のような、そんな気持ちでぼやっと見ているのだった。

「エリちゃんは、いま彼氏とかいないの?」

 いないのと聞いてくるとは失礼な……まあ、休日に出かけもせずに自宅でウダウダしてれば、そう思われても仕方がないのかもしれない。

「大学のころはずっと付き合ってた彼氏いたんですけどね、まあ就職活動でお互いにいらいらしちゃって、結局別れてしまったんですよ。今の会社にも別にいい人もいないし、もうなんか最近疲れちゃったんで、今はいらないかなと」
「ぼくなんか、彼氏にどうかな」

 そうやって男の人は冗談めかしていってくる。ほら、こう来るでしょう。だからいらないんだよね。そりゃ、おじさん好きの娘もいるだろうけど、私は年齢が一回り以上離れていると対象にならないし、それ以前に、別に私は面食いってわけでもないつもりなのだが……この男の人の容姿は、私の許容範囲から下の方に二万メートルぐらい離れてるから、申し訳ないけど。

「いやいや、いまは彼氏は、いらないですから」
「そう……残念だなあ」

 そうやって、男の人はあいまいな笑みを浮かべながら、私の身体を弄る作業にもどった。本気でこない人は、断るのも楽で良いな。どっちでもいいことだけど、本当にただの冗談だったのかもしれないよね。男の人は、上半身を弄るのはやめて、こんどは足の親指から下半身に向けて嘗め回している。
 足首から腰にかけてのラインは自分でも結構自信があり、また維持にも努力を払っているところなので、そうやって丁寧にしてくれるのは、ほんの少しうれしい。私は、胸が大きいほうなので、男の人はそっちばかりに絡んでくるからだ。
 言葉で褒められなくても、視線や丁寧な扱い方を見ていれば、良いと思ってくれるのは分かるものだ。そう思っているうちに、男の人の手と舌が内股に伸びてきてゾクゾクとする。ああ、微妙だ。

「やっぱり、ちょっと濡れてるね……」

 ついに、男の手が私のあそこにかかってしまった。かがみこむようにして、足を開けた私の中に頭を突っ込んで、カパッと大事なところを開いて、躊躇なく舐めとるようにしてくる。私は、声を出さないように震えて耐えるしかなかった。
 好きでもない男にやられても、ここまで丁重に身体を開かされると、嫌でも感じざる得ない。感じてしまうのはしかたがないのだろう。

「なんか、さっきから肛門がパクパクして物欲しそうにしてるね」
「嘘、そんなことないですよ」

 後ろの穴で、何かしたことなんてない。男は、もってきたカバンをゴソゴソやりだすとローションと、まるでシャープペンシルのような細長いバイブを取り出した。

「綺麗なピンク色の肛門だね……後ろの穴も、経験してみない?」
「いやです……やったことないから、そんなの入らないですから」
「まあまあ、いまはぼくが貸してもらってるんだし」

 そういいながら、男はローションでたっぷり私の肛門となぜかお腹の辺りを様々に揉み込むように刺激して……すると、自分でも不思議なことにスルスルと、飲み込んでいく。ありえない。

「嫌だ……なんで入ってくるの……うっ……あぁ」
「ふだん、うんちしてるんだから、入って当たり前なんだよ」

 まるで、うんちが出掛かってるみたいな微妙な、始めての感覚だった。正直なことをいえば、気持ち良いのかもしれない。それでも、嫌悪感のほうが先立ってしまう。何度も何度も、そうやってやられているうちに、ビクビクっと身体が震えて思わず叫んでしまった。男は震える身体を、押さえるように抱きしめてくれる。するっと、バイブも抜いてくれたようだ、助かった。

「ううっ……嫌だ……なんで」
「お尻でいったみたいだね、アナルの適性があるんじゃない、面白いなあ」
「面白くないですよ、もう嫌です」
「そうだ、ここでうんこしてみようよ」
「はぁ……嘘でしょ!?」

 この男の人は何をいっているのだろう。スカトロプレイ!? スカトロプレイなの!? ……そんなのするわけないじゃない!

「もちろん、貸してくれるだけでいいから、うんこを貸してくれるだけ」
「うう……貸すだけですよね」
「そうそう、ほら出してよ……新聞紙ここに広げるから、ちゃんと返すから」

 私は、涙目になった。もう人間として、駄目な領域に入ってると思うが、貸してくれといわれたらしょうがない……貸すだけ、貸すだけなんだ。そう念じて、私は自分の部屋のど真ん中で排便するという、得がたい……というか最悪の羞恥プレイを行う羽目になったのだった。

 自分のものとは信じられないほど、酷い音を出して、知らない男の人の目の前でうんちする……死にたい気分だ。

「たくさん出たねえ……可愛い女の子でもやっぱうんちは臭いもんだね」
「もう嫌だ……」
「じゃあ、ありがとう貸してくれて。うんちは返すね」

 私は、それを聞くと返答する暇もなく、新聞紙の上の自分の出した……うんこを抱えてトイレに走って速攻で流して、ウォシュレットで肛門を念入りに洗って、ついでにさっきのローションもみんな流した。全部、なかったことにしたい!
 そして、暫し人間として何かを失ってしまった悲しみに浸ると、ヨロヨロと自分のベットのところに戻った。身体は返してもらってないので、自分の意志でトイレに引きこもるわけにもいかない。

「おかえりー、長かったね。もういっかい、うんこしてたりとか」
「してるわけないでしょう!」
「あはは、冗談だよ、さあ続きをやろう、また寝そべってね」
「もう、お尻だけはやめてくださいね……」
「もうしないよ……不安だったら、お尻の穴だけ返してあげるね」
「ああ、ありがとうございます」

 これには、心の底から感謝した。お尻の穴を返してもらったら、私のモノなんだから、さっきのような惨劇はもう起こらないはずだ。しようとしても、私が許さない。

「もう、今日は前の穴しか使わないから」
「はあ、それはよかった……って、えー! しちゃうんですか」
「はい、しちゃいますよ」
「困るなあ……」

 私の抗議には取り合わず、男の人はまた私の股に頭を突っ込んで舐め始めた。器用に舐めるなあ、うまいなあ……やはり年齢を重ねてるだけのことはあるのだろう。亀の甲より年の功っていうし。いや、私は別にセックス狂いじゃないから、こんなのが巧妙でもぜんぜんいいと思わないんだけどね。
 気を張ってないと、この男の人に気をやってしまいそうで怖い。別のこと考えないと……別のこと別のこと。

「ああ、そうだエリちゃん、せっかくだからおしっこしない?」
「……するわけないじゃないですか」
「さっきうんこもしたんだし、おしっこを貸してください」
「わかりました……けど、ここでは」

 貸すのはもういいけど、ここ私のベットルームなんだけど。さっき一緒にビール飲んだから、出るのは出るかもだけど……液体を出すのはとても困る。そう思ってると、私の部屋の小さい風呂場に引っ張られた。どうせならトイレにしてよー。

 バスタブのふちに、腰を下ろすようにして。そこでしろといわれた。ニヤニヤ笑ってみてる、しょうがないなあ。

「それじゃあ、します……ああ」

 ジョワアアアア……。

 男の人は、私の股に顔をつっこむようにすると、おしっこをなんとゴクゴクと飲み干していった。この人、変態だぁー!

 ほとんど飲んでしまった、垂れたのは排水溝に落ちていった。これ、貸すのはいいけどどうやって返してもらうんだ。

「ぷふぁー、エリちゃんのおしっこおいしかったよ」
「ありえないです……」

 尿とか、どんな味がするんだろう。自分のでも、味わいたくない。

「じゃあ、ちゃんとおしっこ返さないといけないよね」
「それ気になったんだけど、どうするつもりですか」
「ちょっとしゃがんで」

 私はいわれるままに、しゃがむと男の人はちんこを私に咥えさせた。ちょっと!

「ふぁんでふか!」
「だから、いまさっきぼくはおしっこ飲んだでしょ。だから君のおしっこ飲んだぼくの身体を経由して、また君におしっこを返すんですよ」
「ふぁんでふっふぇ!」

 私の身体はいま貸してるから、こうやって咥えさせられると自由が利かない。理屈はあってるんだけど、つまりおしっこ飲まされるってこと?

「ほら、出るよ。ちゃんと全部飲んでね……」
「ふゃあ! ふぁや!」

 口の中に、にがしょっぱい味が広がる……うげぇ、これがおしっこの味……酷い。私はもう泣いていたけど、返してもらわないといけないのはたしかなので、ゴキュゴキュと飲み干していく。気持ち悪かった、吐き出したかったけど、飲み干していく。しょうがないのだ。貸したものは返してもらうのがあたりまえだから。

「下に少しこぼれちゃったけど、ぼくが飲むときもいっしょだったからね」
「ふぁい……ぐっ 返してもらってありがとうございました」

 今日は厄日だ。吐き気が広がる。喉と胃が気持ち悪い、お腹がグリュグリュと鳴る。とりあえず、男の人と私はそのままさっと、シャワーを浴びて出た。どうせなら、もっと早くに浴びたかったなあ。

「じゃあ、いろいろ寄り道して遊んだけど、そろそろしちゃおうか」
「え……まだ、するんですか」
「男は、ちゃんとやって精子ださないと納まりがつかないもんなんだよ」

 そんなことをいいながら、またクンニを始める男の人。もう今日はやられすぎて、敏感になりすぎてるので、本当に声をあげてしまって恥ずかしい。あと、なんか疲れてきた……。私が、快楽と疲労に頭をぽけーとさしていると、もういいかなとか男の人がいって、ひょいっと私にまたがって動いていった……あん!

「ちょちょちょ! ちょっとまってください!」
「なに?」

 そういいながらも、ピストンをやめない男の人。ジュブジュブといやらしい音が響いて、私のあそこが、男の人に絡みつくようにまとわりついて。押されたり抜かれたりするたびに、頭がおかしくなりそうになる。

「ああ……ゴム付けてないですよね! だめですよ!」
「ゴム? コンドームのことか……そんなもんもあったねえ」
「あったねえ、じゃないですよ。私も、持ってますから早くつけてください! 駄目、生で入れないでください!」
「でも、生でいれたほうが気持ちが良いんだよ。ほら、ほら」
「あっ……やめて……だめっ……」

 ニュプ、チュプっと抜いたり刺したりされると、もうなんかおかしくなりそう。

「おねがいだから……やめてください。妊娠しちゃったら困るでしょう?」
「えー、ぼくは困らないけどなあ」
「私が困るんです! 結婚した相手とか彼氏とかならともかく、知らない男の人の子供を妊娠とか最悪です!」
「じゃあ、分かった。射精するとき膣の中じゃないところで出すから、それならいいよね」
「外出しは避妊じゃない……あぁ、そんなに突かないでください……わかった、わかりましたから……中だけは、絶対だめぇですからね」

 結局、こういう取引になってしまったようだ。私としたことが、途中で何度も気をやってしまって意識が遠のいた。だって私が悪いんじゃない……男の人が執拗すぎるし、長すぎるんだもん。何度か波が行きつ戻りつして……ようやく落ち着いたころ、男の人も絶頂に達するみたいだった。

「ああ、さすがに、そろそろ出そうだなあ……」
「中は駄目! 中は駄目!」
「あの聞きますけど、エリちゃん危険日?」
「生理終わったばっかりだから、そんなに危険じゃないです、けど中に出すなんてだめぇ」
「危険日じゃないのね、分かった、分かりました」

 そういって、男は素直に抜いてくれる。ほっとした。最初から生で入れないでほしい。実際に妊娠したことはないし、前付き合っていた彼氏はゴムをちゃんとつける人だったので、どこまでの確率なのかしらないけれど、先走りの液だけで妊娠することだってあると聞いた。

「ほら、お口空けて!」
「ほぇ?」
「出る! エリちゃんのお口に出るよ」

 ドピュドピュドピュドピュドピュ!

 上向きに、口をあけた私の口の中に、注ぎ込むように射精した。ドピュドピュと、口の中だけじゃなくて顔にも一杯かかった。濃い、濃すぎるこの男の人。

「ゲホケホ……」
「ああ、吐いちゃ駄目だよ……なるべく口の中に溜めて飲み込んで」
「うぅ……」
「ぼくがエリちゃんの身体から出た愛液を飲んだんだから、こっちの精液も飲んで返すのがあたりまえだよね」

 そういうものなのか、とても嫌だったけど仕方がなく飲み干した。ほんとに、ドロドロでもう糊を無理やり飲んでるみたいな酷い味で、喉が詰まるかと思った。

「ほら、お口の中の全部飲んだら、最後はぼくのチンコを舐め取って、尿道口のなかの精子まで全部吸いだして飲むのが礼儀でしょ?」
「そこまで……やるんですか」
「だって、ぼくだってエリちゃんの舐めて飲んだでしょ、はい」
「ふぁい……」

 こうして、男の人のを綺麗にして地獄と快楽の責め苦がようやく終わった。まったく、休みなのに、これだけでほんとに疲れてしまった。男の人は、やるだけやると私に身体と服を返して、タクシー代を一万円借りて、帰っていった。


 ……一週間後、お昼前……


「トイレを貸してくれませんか」
「……また、来たんですか」

 一週間後の土曜日、私もどっかに出かけれ居ればいいのに、また家にいて男の人の来訪を受けた。少し、自己弁護させてもらえば、私は入社一年目だから、毎月の給料だって手取り十七万だし、外出るとお金がかかるから家で自炊すればとても経済的だし……ええ、すいません寂しい女ですよ、ごめんなさい。

「どうしたの、なんかがっかりした顔して」
「いや……ちょっと自己嫌悪に陥りまして」
「まあ、いいや」

 男の人は、今日もトイレと発泡酒と昼食と私の着ている服を借りた。もう、なんかパターン化してるなあ。男の人が、来るので一つだけいいことがあるとすれば、風呂上りは黒ビール党だったのが安物の発泡酒を飲むようになり、ますます経済的な女になったということだろう。それも、いいことじゃないかもしれないけど。

 男は、また私の身体を借りて、散々に弄ぶ。他は、もう諦めたのでかまわないけど、アナルだけは本当に止めて欲しい。すごく気持ちよくて、へんな性癖が付きそうで自分でも怖いのだ。

「じゃあ、入れるね」
「入れてからいわないでください!」

 私のお尻の穴にに、あのペンシルバイブを突っ込んだまま。男の人の物を、膣に挿入なんて反則じゃないだろうか。それに、またゴムをつけないで生だし、信じられない。

「あの、本当に生は止めてください。ゴムをつけたらいくらでもやっていいですから……私、だんだん危険日が近づいてるんですよ」
「そうなんだよね……エリちゃんにどうしても中出ししたくってさあ……どうしたらいいか考えてるんだよね」
「まさか、ピル使えとかいうんじゃないでしょうね」

 いまは、身体を貸しているのでされるのはしかたがないと諦めもつく。でもなんで、男の人が気持ちよく射精するために、私が普段から避妊を気にしてピルとか飲まないといけないのだろう。そんなの間違ってる。絶対に嫌だった。
 膣に入れて。精子を殺す薬もあると聞いたが、あれも駄目。この男の人の精子は、信じられないぐらいめちゃくちゃ濃いので効果がないかもしれない。

「避妊するんでは、意味ないからね……ちょっと話し合おうよ」
「とりあえず、抜いてくれませんか……避妊しないってどういう」
「まあまあ、このままでぼくの話を聞いてよ……子宮を貸してくれないかな」
「なんですって……あの……それは」

 子宮を貸してあげる……頭の中で、そんな言葉が響いた。いま、身体は貸してるのよね……それはすぐ返って来るはずだけど、子宮もそれについてるから一緒に返って来るんだよね……。

「難しい話だけどね、つまり、君の子宮をぼくが一年ぐらい貸してもらって、そのなかでぼくの赤ちゃんを育てようってことさ」
「はい……いいえ……それって、貸すだけなのかな……でもそれって妊娠しちゃうし……それは絶対駄目……でも」
「ねえ……いいでしょ。ぼくは気持ちよく、君の中に子種を放出して、君の子宮で子供を育てるだけなんだから、ずっとじゃなくて一年ぐらい貸してもらうだけだよ」

 頭がガンガンする――だめだ、なにか反論しなきゃ駄目だ。妊娠……妊娠ってなんだっけ、男の精子と女の卵子が――そうだ!

「だめ! だめですよ! いま気がつきました。危なかった!」
「なに……なにに、気がついたの!?」

 男はびっくりして、顔をあげる。本当に驚いたみたいで、焦って腰が引けてニュプっとチンコが抜けた。ちょっといい気味だ。

「だって、子供ができるには精子と卵子がいりますよね。精子は、あなたのだけど、卵子は私のですよ?」
「そうきたかー、なるほど面白いなあ」
「子宮は貸してあげてもいいけど、卵子は私のですからね!」

 男は、驚愕の表情を緩めて、なにか面白がるような顔になった。

「じゃあ、こういうのは、卵子も貸してくださいっていうのは?」
「それは……えっと……うーん、返せないでしょ! そうだ返せない。卵子が精子とくっついて受精卵になったら、もう卵子でなくなるし、返せないものは貸せないです」

 なにか、苦しくなってきたが。とにかく妊娠はだめなんだ、なんとか言い逃れる理由を私の頭は必死に探して、なんとか吐き出せた。男は、まだ余裕があるみたいに考え込んでこんなことをいった。

「あのさー、卵子って本当に君のなの?」
「えー、なに言ってるんですか。私のに決まってるじゃないですか!」
「たとえばさ、君は月経があったときに、それを拾って全部保管してるの」
「……そんなのしてるわけないじゃないですか」
「そうだよね、ぼくも精子は射精したらもう自分のだと思わないもん。ティッシュに出したらゴミ箱に捨てちゃうよ。つまりゴミだよね」
「そうですね……」
「卵巣にあるときは、君の所有物だけど……卵子はそこから飛び出したら、もう君の所有物じゃない! 外に捨てちゃったんだからね」
「え……それは……その……ええ!?」

 ええ……そうなの……そういうことなの?

「爪も自分の身体から切り離したら、自分のものじゃないよね。ただのゴミだよ。たしかにいるけどね、ぼくの友達にも自分の切った爪をビンに詰めて、集めて喜んでるやついるよ……君も、もしかして自分の卵子を収集して喜んでる変態なの?」
「違います……私、そんな変態じゃないです」
「じゃあ、毎回捨ててるんだ。だったら、出しちゃった時点で所有権は放棄してるんだね。これはわかったかな」
「わかり……ました」

 そうか……そうなってしまうのか。そうすると、そのそうなっちゃうと!

「いまも、身体を借りてるけど、子宮を一年ほど貸してくれませんか」
「それは……もちろんいいですよ」
「じゃあ、ぼくはそこに精子を出して、君が捨てた卵子にぶっかけて子供を作ってもまったくかまわないということになるんだ、わかるよね」

 そうなってしまう……なってしまった。

「わかりました」
「これで、中出しする障害はなにもなくなったわけだ。中にたっぷり射精してもらって、ぼくの子供を妊娠できるよ。よかったねえ、うれしいね!」

 私は、グズグズと泣き始めていた。なんで泣いてるんだろ……。

「うっ……うれしくなんて……あっあっあっ! うれしくなんてないです!」
「妊娠すると、おっぱいだって大きくなるそうだよ。ブラのカップみたけどいま、Eの95だっけ、たぶんFかGぐらいになるよ! よかったね!」
「胸も……もうこれ以上いらないんですよ、ぜんぜんよくないです」
「お産も若いうちに経験しとくと軽くなるっていうよ、あと少子化も叫ばれてるから、社会貢献じゃん」
「もう……いやぁぁあああ」
「良いくせに、ほらほらどこに精子出して欲しいかいってごらん」
「ううっ……できれば、外に……外におねがい」
「ああ、エリちゃんの膣すごいわ……押したら子宮口が下がってきてキスしてくるし、引いたら襞が行かないでって、絡み付いてくるよ!」
「ああっ……そうだ、先週みたいに! お口に、口で飲んであげますよ!」
「うあー、出すの三日ぶりぐらいだから金玉がキュルキュルくる……濃いのが出るよ!」
「お口で、口にください……おねがい!」
「エリ! エリ! 中だししてぼくの子供を妊娠させてもいいんだよね!」
「いいです……いいですけど……あぁーいやぁ!」
「エリ! エリの中に出すよ! 子種を食らえ!」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!!

 男の三日ぶりだという濃い精液が、ドピュドピュと子宮へ膣内にたっぷりと降り注いだ。自分のお腹の中に、何度も打ち付けられるのが感じられるほどの熱さだった。
 男が押さえつけるように腰を上げたので、極限まで押し付けられて発射された精液は、ドクドクと余すことなく私の最奥へと流れ込んでいく。逃げ場がない……助けて、お腹が熱い!

「あっ……ほんとに、中で出しちゃった……」
「ハァハァ……こんなにたっぷり出したの久しぶりだよ」
「早く身体を私に返してどいてください……」
「いや、もうちょっと貸しておいてね。このまま、しばらく入れたままで浸透させたら、もう一回射精するからね、三日ぶりだし、あと何発かできそうだなあ」
「早く終わって……身体洗いたい……」
「ああ、あとエリちゃん今日は口にしてほしかったんだよね……ごめんね、深いキスしてあげるからさ」
「いらな……うっ……ふゃ……」

 結局、その日はそれから三発も中で射精された。三十台半ばの男性の体力とはとても思えなかった。男の人より、私のほうが若いのにこっちの腰がキツイぐらいだった。身体と服を返して、男性が帰った後、私は泣きながら自分の膣の中を必死に洗った。気休めにしかならないけど。

 ……一週間と一日後、夜……

 この日は、朝から友達と繁華街に繰り出して遊んだ。喫茶店でだべって、カラオケいって、最近評判の美味しい店で食事して。友達は、突然の呼び出しに準備に手間取ったのだろう、一時間遅刻したが、急の呼び出してしまったことをこっちが謝って、ご飯とかおごってあげると機嫌よさそうに遊んでいた。どうせ、彼氏居ない仲間なのだ。暇をもてあましてるのはわかっていた。
 私は、とにかく予定を作って家に居たくなかっただけなのだろう。夜も、九時ぐらいまで遊んで終電で帰宅する。明日は仕事だから、午前様というわけには行かない。
 マンションの自分の部屋の前までくると、誰もいないことにほっとした。

 鍵を開けて部屋の電気をつけると、男の人が食卓の前に座っていた。

「どどど、どうやってはいったんですか!!」
「失礼、ちょっと部屋を貸してもらっているよ」
「それはいいですけど……」
「今日は、あれだね済まなかったね。お昼に来たら留守みたいでさあ」
「私にもいろいろ用事ってものがあるんです」
「待ってる間、暇だったよ。ごめんね、こういっておけばよかったんだよね」
「……?」
「明日から、平日の夜九時から二時間の時間を貸してください」
「……それは、いいですけど」

 もしかしたら、私は逃げられなくなってしまったのだろうか。ふと戸棚を見ると。

「あー! もしかして食パン勝手に食べました?」
「ごめんごめん、いわなくてちょっと貸してもらいました」
「ふぅ……まあ、今日保存食買ってきたからいいですけど」

 明日の朝ごはんぐらいはなんとかなる。買って来てこなかったら、朝食抜きになるところだ。まったくもう。

「じゃあ、時間もないし、いますぐやろうか」
「やるって、なにを?」
「もう、分かってるくせに身体を服ごと全部貸してくださいね」
「ああせめてお風呂ぐらい……うぅ……わかりました」

 裸に剥かれて、時間がないって言ったくせに妙に身体中匂いを嗅がれて、嘗め回された。屈辱的だった。

「一日の疲れの匂いもいいもんだね、エリちゃんはいい体臭がするよ」
「それは、褒められたと受け取ってもいいんでしょうか……泣きたいですよ」
「おいしいなあ、仕事か遊びか知らないけどいいねえ」
「友達と遊びにいったんです……時間ないんじゃないんですか……しつこすぎですよ」
「ああ、ごめんごめん、エリちゃんは早く中に出して欲しいんだよね」
「違います、そんなことまったく言ってない!」

 それでも、さんざんじらされたあと、中でゴリュゴリュされると声がでてしまって身体が反応してしまう、自分の身体に泣きそうになった。

「エリちゃん! 出る! 妊娠して!」
「うっうっ……どいて……」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 中に出した後は、腰を浮かせたまま男の人は絶対に身動きさせてくれない。子宮の奥まで精液がたっぷり落ち込むのを狙ってるんだと思う、諦めるしかないのだろうか。たまには他の場所に出せば良いのに、何度も何度も、中で出された……。

「ふう、今日もたっぷり出したなあ」
「もういいでしょ、夜も遅いから、明日仕事なんですよ」
「そうそう、今日はいいものを持ってきたんだ」
「はぁ……なんですか」

 なんか、ごそごそとまたカバンをあさっている。良いものであった試しがない。男の人はタンポンのような、小さいバイブのような、産婦人科で使う器具のような……なんだろこれ。

「じゃーん、精子がっちりガードバイブ!」
「なんですか……」
「えっと、まず子宮と一緒に今日から一年間ぐらいぼくに膣も貸してくださいね」
「いいですけど……説明してください、なにこれ」
「これは、こうやって膣に刺してっと」
「ああ、なにこれ奥に入って、取れなくなっちゃいましたよ!」
「それでいいんだよ、これは子宮にいったん入った精子を外に出さないようにする器具だよ」
「そんなのがあるんですか……最低です」
「ぼくとセックスしてないときは、ちゃんとつけておいてよね。とったら駄目だよ、汚れても器具ごと洗浄もできる。おしっこもできるからね」
「はい……膣もあなたに貸してるんですもんね」
「そうだよ、他の男の人のチンポ入れちゃだめだからね」

 私は、もうここ一年ぐらいは彼氏を作ることもできそうにない。結局この日は、ゆっくりと夜中までやられた。明日遅刻しなければいいけど……。

 ……二週間後、排卵日の夜……

 それからというもの、平日夜は毎日毎日ねちこいセックスをされて中に出された。日中は、膣の中にバイブが入っててずっと精液が入りっぱなしで、腰がソワソワして落ち着かないし、いい加減こんな生活を続けては仕事にも差し支える。
 今日はまた休日、のんびりした職場だからいいといえばいいんだけど。

「昨日なんか、私の様子がおかしいから、彼氏が出来たと勘違いされたんですからね!」
 女性の同僚は、細かい変化に鋭いので、そう見えてしまったのだろう。否定するのに苦労した。

「いいことじゃないか、いっそのことぼくと付き合っちゃえばいいのに」
「それは嫌……絶対に嫌……」
「こうやって、突きあってるのに、付き合うのが嫌なんてなあ……」
「そんな……あっ……うまいこといっても駄目なものは駄目」

 そうなのだ、もう今日は朝っぱらからのべつ幕なし、セックスしまくってるのだ。獣みたいだった。今日は何故か知らないけど、私は嫌なんだけど身体が火照るのだ。なんだろう、この腰の充実感は。もしかすると、この男の人に合わせた身体になってしまったのだろうか、そう考えると落ち込む。

「うう……正直なこというと、気持ちよくて……気持ちいいのが嫌なんです」
「ようやく……素直になってくれたね、どうせ抱かれて中出しされて妊娠しちゃうんだから楽しんだほうが得だよ」
「ああ……いったいどこで間違えたんだろう……こんなよく知らない男の人の子供を妊娠させられるなんて」
「だから、よく知りあえばいいじゃん。ぼくはエリちゃん大好きだよ。可愛いし、綺麗だし、家庭的だし、身体の相性もいいしね!」
「うっ……そこ、弱いって分かってるんだったら……強く突かないでください!」
「エリちゃん、チュキチュキー」
「腰から力が抜けちゃうから、急におっぱい吸わないでください」
「気持ちいいんでしょ、愛のないセックスより、愛あるセックスのほうが絶対気持ち良いよ、ためしにぼくのこと好きっていってごらん?」
「あなたなんか、大嫌いです……というか、もうほんとに問題外の男なんですよ、あなたを最初見たときにいい人だと思ってた私が馬鹿みたいです」
「そんなこといいながら、下の口は吸い付いてるし、腰も動いてるんだよね。オマンコはぼくのこと愛してるって言ってくれてるよ。言葉と身体のどっちをぼくは信用したらいいのかな」
「身体は貸してるから……言葉を信用してください……やぁーまたなんか来る、駄目駄目……ああ、うっ」
「あー気持ちよすぎて、また出そうだよ……エリちゃんいくよ!」
「はい……うっうっ、また中に出すんですか」
「もちろん、中に決まってる! エリ愛してる!」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

「あぁ……また出された……ちなみに私は何度言われても、あなたなんかぜんぜん愛してないんですよ」
「いい加減、諦めたらいいのに。気持ち良いんでしょ、エリちゃん中に出されるとすごくいい顔してるよ」
「誰が……しかたなくなんですよ」
「もうそろそろ、排卵日来てるはずだよ……もう駄目押しって感じだな」
「はぁ……嫌だっ……ほんとに嫌。私がいま考えてることをいってあげましょうか。生理不順で今月、排卵とかなければいいと思ってますよ」
「エリちゃんって、不順なほうなの?」
「…………残念なことに、とても規則正しい方です。ちょっと前までは自慢だったんですけどね、生理も軽いほうだし」
「それでも、大変でしょう生理は。よかったねエリちゃん。これから一年近くは生理とは無縁だね」
「次の生理が来ることを、心から祈ってます……」

 結局、このときの私の祈りは天に届かなかった。あとから逆算してみると、まさにこのとき、私の言うことを聞かない卵巣は卵子を一個排卵してしまっていて、それが精子が一杯に詰まっている子宮へと降りていったのだ。もう何発だされたかわからなくて、お腹がパンパンになったところを蓋されてたんだから……受精しないわけがない。このときばかりは、自分の健康な卵子が憎かった。

 ……八週間後……

 見事に、次の生理予定日に生理が来なくて、妊娠検査薬で妊娠が分かったときに男の人はとても喜んでくれた。
「おめでとう!」
「はぁ……おめでとうじゃないですよ、私はお腹を貸して子供を生んであげるだけなんですから、私はまだ赤ちゃんなんか欲しくなんかないんですよ。しかも、知らないおじさんの子供なんて……」
「じゃあ……ありがとう」
「お礼なら受け取っておきます……はぁ、これから私どうしよう」
「ぼくたちの愛の結晶ができたというのに、浮かない顔だな」
「愛なんてないですよ……それにしてもできたものはできたで、しょうがないから……なんとか考えないと」

 男は悩んでる私に取り合わず、また嬉しそうに「おめでとう!」といって、キスをした。いまは、唇を男の人に貸してるからしょうがないんだけど、何か釈然としなかった。
 その日も激しく……された。

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

「想像してみな、これからこのおっぱいとお腹が出て……ぼくの子供をこっからひねり出すんだよ、ああそう考えたらよけい、エリのオマンコがいとおしい」
「やめて……そんなこと聞きたくないから、いわないで」
「男の子かな、女の子かな、夢が広がるね」
「……いわないでよ」
「女の子なら、エリちゃんに似て美人さんになるね、男の子だったらぼく似かな」
「女の子……せめて女の子ができててほしいです」

 それからしばらく、男の人はやってこなくなって、私にとって平和な日々が続いた。

 ……六ヵ月後……

 お腹が出始めると、胸が張り出した。母乳がチョロチョロと出だした頃、また男が頻繁にくるようになっていた。子供が心配だとか、そういう殊勝な理由なわけもないと思った。
 どうせ膣を借りに来たのだろうと思ったら、男の人は私の予想の斜め上をいっていた。母乳が出だしただろうから、母乳を飲ませてくださいというのだ。

「おっぱいは、赤ちゃんのためにあるとおもうんですけど……」
「これも、貸してくださるだけでいいんです」

 まあ、返してくれるならいいやと飲ませてあげた。吸うのはかまわないけど、左の乳ばかり吸うのはやめて欲しい。なんか、おっぱいの大きさが微妙に、左右変わってしまったような……これも後で返してもらえるのだろうか。返って来るといいなあ。

「このなかで、ぼくの子供が育ってるんだなあ……あっ、お腹けった」
「なに父親みたいな雰囲気を出してるんですか……みたいなじゃなくてそうなるんでしょうけど」
「女の子だってね、よかったねエリちゃんの願いがかなって」
「できなければ、もっとよかったですけど……いまさらですしね」
「幸せだなあ、きっと可愛い女の子だろうな」

 そういって、子供が入っている私のお腹ごと優しげに男の人は私をしばらく抱きしめていた。似合わないなあと私は思った。
 そのあとしっかりセックスしていくのはやっぱり男の人だった。あと、おっぱいを吸いながらセックスするのはいいけど、子宮の中に赤ちゃんがいるのに中で射精するのはやめてほしい。中の赤ちゃんにかかっちゃうよ。そういったら、自分の赤ちゃんにかけてるんだから良いんだといわれた。そういう理屈なら、しょうがないのかな。でも、産婦人科とかで分かって指摘されたら恥ずかしくて嫌だなあ。
 だからといって、大きくなったお腹に精子だして擦り付けるのも止めて欲しい。何のプレイのつもりなのやら。自分の子供が出来ても、男の人は相変わらずだった。

 ……そして、十月十日後……

 独身だったので、シングルマザーになるが、今の時代ではよくある話なので、誰に不審がられることもなく、むしろみんなにいろいろ助けてもらって一人でなんとか出産した。初産にしては、安産だったのが幸いだった。男の人が、出産に付き添ってくれるかと期待してなかったが、やっぱり来ないのは無責任だなあと思った。

「ああ……私の赤ちゃん」

 言ってしまってから、私のじゃなくてあの男の人のだと思い直した。それでもなんと可愛い子供なのだろう。代理出産の母親が、急に渡したくなくなる気持ちが分かった。それはとても幸せな気持ちだった。

 会社には本当に申し訳ないとおもったが、入ってそんなに経ってないのに出産の休暇も簡単に取れたし、出産費用や当座の生活費は公費を借りることができた。一人の出産に、ちょっと不安であったけれど、やりくりすれば、なんとかなってしまうものだなと思った。案ずるより産むが安しって本当なのだ。

 生まれてきた子供は、あんな男の人との間にできたとは思えないほど、可愛らしい女の子だった。いつか返さなければいけないので「かえす」の逆の「末香(すえか)」と名づけた。友達になぜ長女なのに、末香なのかと聞かれたが、まあそういう理由だ。いつかは返さないといけないのかもしれないけど、私はこの子を返したくないのかもしれない。
 末香は、私のおっぱいを飲んで、スクスクと元気に育っている。可愛い、可愛すぎる。とても幸せだと思ったが、ふと困ったことに気がついた。

「この子、いつ返すか聞くの忘れちゃった」

 もしかすると、男の人は取りに来ないかもしれないと考えた、それでもいいんじゃないかな。でも、男の人の名前ぐらいは聞いておくべきだったかもしれない、出生届にも書けなかったので私生児扱いになっちゃったから。

 男はまだ来ない。しばらくは、親一人子一人の幸せが続きそうだ。
後日談「高二病の催眠術師」(三年後)
『私の家族』 ごづま坂小学校 六年一組 出席番号六 鳥取ヒナ

 私には、お母さんとお父さんが居ます。そして、とても優しいお姉ちゃんとお兄さんがいます。お姉ちゃんの名前はツバメちゃん、お兄ちゃんの名前はマサキさんで二人はいま高校二年生です。
 ツバメちゃんは、本当はお父さんの妹で、私の叔母さんです。でも、叔母さんっていうと怒るからお姉ちゃんといいます。マサキさんは、実は隣の家の人で血がつながってません。でも、もっと大事なものでつながってるのでちゃんと家族です。
 今日は、家族でも一番好きなマサキお兄さんの話をしたいと思います。ちょうど、マサキお兄さんが隣のよく知らない人から、家族になったのが、三年前の今頃でした。
 マサキお兄ちゃんは最初、ツバメちゃんの恋人としてうちの家にやってきました。そして、いつの間にかお母さんとも愛し合っていました。そのうちに、お母さんに子供が出来ました。私の弟の烏丸くんです。
 マサキお兄ちゃんは「これは内緒だよ」と私だけに教えてくれましたが、弟の烏丸はお父さんじゃなくてマサキお兄ちゃんとの子供だそうです。そしていま、またお母さんはお腹が大きくなっています。もしかしてと思って聞いたら、やっぱりお兄ちゃんの子供だそうです。
 そうこうしているうちに、ツバメお姉ちゃんにも子供が生まれました。当然マサキお兄ちゃんの子供です。女の子でスズメと名づけられました。そのときお姉ちゃんは中学生だったので、しょうがなくお母さんの子供だということにしました。そうこうしてたら、またツバメお姉ちゃんに子供ができて、今度は男の子で鷲緒くんでした。ちょうどお姉ちゃんとお兄ちゃんが高校生になるときで、てんてこ舞いでした。
 そして、またツバメお姉ちゃんは妊娠しています。家族が増えるのは楽しいですが、さすがにやりすぎだと思います。マサキお兄ちゃんは、うちの家の外にも愛人と子供が居て、ふたつの家庭があるそうですが、どうやりくりしてるかとても不思議です。

 そんな多忙そうなマサキお兄ちゃんですが、忙しくてもちゃんと私と遊んでくれるのでとてもいいお兄ちゃんです。今年の春、私にも生理が来ました。お母さんに赤飯を炊いてお祝いしてもらいました。保健の時間に習いましたが、これは赤ちゃんが作れるようになるということです。
 そうこうするうちに、なぜか私の生理が止まりました。マサキお兄ちゃんと、お股をくっつけて遊んでいたからだということです。どうやら、私にもマサキお兄ちゃんとの赤ちゃんができるみたいです。私は驚きました。そして、とてもとても困ってしまって、マサキお兄ちゃんに言いました。

「だって困るよ、もう赤ちゃんが一杯いすぎてうちの家の部屋が足りないよ!」

 うちにはもう三人も赤ちゃんがいるのです。ツバメお姉ちゃんももうすぐ出産だし、私にも赤ちゃんができたら、部屋が足りなくて困ってしまいます。
 あと、私も赤ちゃんがたくさん生まれるまで一人部屋をもらっていたので、それが少し残念だった気持ちもあるのです。そうしたら、マサキお兄ちゃんは自分の家の部屋を片付けて使えるようにするから大丈夫だといいました。
 そうなったら、私と私の赤ちゃんとで部屋をひとつもらえるそうです。さすがマサキお兄ちゃんです。これで私も、子供を産んでも安心です。家族が増えるのはとても嬉しいです。弟も従姉弟も私の子供も早く大きくなって一緒に遊べるようになるといいと思いました。おわり。

 鳥取ヒナが読んだ作文が終わり、六年一組の教室は静まり返った。担任の綾野先生がパチパチと手をたたくと、それにあわせて呆然としていた生徒は、みんな思い出したように拍手をしだした。
「えっと……あいかわらず、作文が上手ねえ鳥取さんは」
「ありがとうございます、結婚したばっかりだけど家庭に入らずに、まだ若くて綺麗な綾野先生」
「なにその説明口調は……褒めてるみたいだからいいけど。あと今日の鳥取さんの作文は突っ込みどころが多すぎて、どこから突っ込んでいいのか迷うんだけど……」
 鳥取ヒナは、少し活発すぎるところはあったが、優秀でまともな生徒だったはずだ。昨日の作文の授業のときに書いていた作文を見たが、こんなおかしな内容ではなかった。そして、違和感の最大の原因に綾野先生は気がついた。
「はい」
「とりあえず、鳥取さんの横に居る男の人は誰……」
「はい、マサキお兄ちゃんです!」

 ヒナの横に、若い……と思われる男性がいた。なんというか、胴長短足で恰幅が良すぎて、血色が悪い暗い感じの青年で、高校の制服を着ているにもかかわらず、高校生にはとても見えない。下手すると高校生のコスプレをしている中年に見まちがえかねない。
 悲しいことに、三年という歳月は、残酷に安西マサキから若さを吸い取り、さらに酷いデブオタへと進化させていた。
 綾野先生は、とてもヒナのいっているようないいお兄さんに見えないと思う。そうすると、そのマサキという青年はいやらしい笑いを顔に浮かべながら、ツカツカと教卓に近づいてきた。
「ちょ……ちょっとあなた!」
「どうも、ヒナがお世話になってます。あなたが綾野夕子先生ですね」
「え……はい」
 学校に不審者が入り込んでいるのだ。すぐにも危機管理マニュアル的処置を取るべきであった。生徒を守らないと。それなのに、マサキの濁った目を見ているうちにそんな気持ちが、すっと綾野夕子から抜けていく。ああ、おかしい。これはおかしい。何かが……駄目……生徒たちを……。
 そうこうしているうちに、マサキの目が輝き始める。そしてその次の瞬間、この教室全ては、マサキの支配下に入っていた。
「ふはは、相変わらず他愛もない……さてと、まずどういう暗示をかけるか」

 多人数に対して、整合性の取れた流れるような暗示。教科書に載せたいようなお手本的催眠術である。ここ三年の集団催眠の経験により、マサキはDLOの若きエースに成長していた。
 きっちりと十分後、短い酩酊のような感覚から綾野夕子は目覚めた。
「は……私は、そうだ作文の授業」
 綾野先生の横では、ニコニコと高校生の制服を着た男が笑っている。
「ああ、マサキくん。私は授業の続きを……」
「そうじゃないでしょ」
「え?」
「えー、作文の授業の途中ですが、変わりまして保健体育の授業をやります」
「え、え、そうだっけ」
「そのために、綾野先生とアシスタントのぼくが居るんでしょ。忘れたんですか?」

 ニカっと、爽やかではない笑いを浮かべるマサキ。いまの夕子には、それが説得力をもった顔に見える。
「そうねーじゃあ、今日はマサキくんに手伝ってもらって保健の授業をやります」
 無言で、マサキが黒板に楷書する。
「えっと……今日の授業は。え、男と女の体の仕組み……です」
 黒板に書かれた文字を素直に読む夕子。
 作文の授業よりは面白そうなようすで、子供たちが小さくざわめく。それをあいかわらず楽しげに見つめているマサキ。
 それで、どうしたらいいのかなとマサキをみる夕子。マサキは、少し黙って生徒たちのざわめきが納まるのを待って口を開いた。
「保健の教科書はもってきましたか……え、ないの。まあ今日は保健の授業やる予定じゃなかったからね。それじゃ、ぼくの教科書を見てください。えー身体の仕組みが載ってますが……」
 そういって、教科書の女性器の絵を指でさすマサキ。
「えっと、一番前列の男の子……そうそう君。君はこれを見て、どう思うかな。ヴァギナ、俗にはマンコとかオマンコとかいいますが、この絵を見て実物がどんなものか理解できるかい」
 前列の少年は恥ずかしげに顔を赤らめながら、ブルブルと顔を横に振る。
「そうだろうとも、そうでしょうとも、そうこなくっちゃね。ほら夕子先生、みんなわかんないって、こういうの教師としては怠慢だよね」
「……すいません」
 夕子は落胆して、肩を落とす。どうやら不手際があったようだ。
「でも大丈夫、夕子先生が身体を張って教育してくれるらしいから」
「えっと……マサキくん、それって、どういうことかな」
「ここで、夕子先生がパンツ脱いで、マンコ見せるってことだよ」
「え……でえええええ! なにそれ、本気で!?」
「先生うるさい……隣の教室から人がくるとやっかいだから……じゃない。教師としてあたりまえのことでしょ」
「うん……あたりまえなんだけどね、でもね……」
「何も全部脱げっていうわけじゃないから、下だけでいいんですよ」
「そうだよね……」
「はいはい、もう授業時間が押してるんだから、早く教卓の上に腰掛けて足を開いてくださいよ」
「わかったから、自分で上がるから、お尻触らないで」
「先生さすが偉いですね、スカートだから脱がしやすいですよ」
「だめ、脱がさないで……自分で脱ぐから」
 そういって、観念したのか夕子は自分でするすると下着を下げた。それでも、足を閉じている。
「ほら、先生足を開かないと、よく見えないじゃないですか」
 そういって、太ももを押し広げてやる。ひんやりとした滑らかな感触、さすがは二十台。既婚者だというのにまだ肌も滑々だなと、ほくそえむマサキ。
「ちょっと、止めて開かないで」
「これは譲れませんよ、いいですか貴女はいま教材なんです」
「わかった……わかったから……自分でするから触らないで」
「わかったんなら、自分でオマンコを開いてみてくださいよ。ぼくは生徒たちに説明しないといけませんから」
「ううっ……」
 曲がりなりにも、自分のオマンコに手をそえて開き気味にする夕子に満足する。
 夕子は、もう全てが嫌になってしまい、うつむき加減に顔を伏せていた。こんな格好で生徒と話したくないのだろう。それでも、やはり気になってしまい、またマサキもニヤニヤとこっちを見ているのでついちらりと見てしまう。
「ああ! いやあぁ! なに撮ってるの鳥取さん!」
「ほら、動かない……叫ばない。大人なんでしょ、夕子先生」
「だって……鳥取さんが私を撮影している!」
 いつのまにか、鳥取ヒナが来て、傍らでビデオカメラをまわしはじめていた。
「何って、性教育用の教材なんだからビデオ撮影するのはあたりまえでしょう」
「そんな……そんなの」
 この場で恥をかくだけではなく、映像として残ってしまうということに絶望する夕子。そんな夕子の様子を楽しみつくし、カメラを意識した角度でわざと夕子の股を覗き込むようにして指をさして、マサキは説明を始める。

「皆さん女性器の名称は知ってるかな。そうヴァギナだね、俗にはオマンコともいうんだ。陰毛が生えてるから、分かりにくいかもしれないけど、この外側が大陰唇、内側のビラビラが小陰唇といいます。上についているこの……皮かぶってますね、まあ女性は皮に覆われてる人のほうが多いんですよ、剥きますね。これがクリトリスです。陰核ともいいます、小さすぎて分かりにくいかなあ。女の子のおちんちんのようなもので、触ると勃起して気持ちよくもなります」
 夕子の顔は真っ赤を通り越して、血の気が引いて真っ青になっている。それを確認して顔もよく撮っておけとヒナに指示を出してマサキは続ける。
「この中身の前の穴がおしっこする穴です、後ろがチンコを受け入れる膣。膣の奥には子宮口があってその奥が赤ちゃんを育てる子宮です、もちろん見えたとしても子宮口までしか見えないものだけどね」
 そういって、笑うマサキ。夕子の羞恥心は我慢の限界を迎えたようだった。
「だめ……やっぱだめ。こんなの……こんなの!」
 綾野の手が震える。自分の生徒たちが、固唾を飲んで自分のオマンコを見つめている。自分の一番大事なところに、注がれている生徒たちの視線は痛いぐらいだ。こんな状態で、自分の股を開くことなんて、とてもできはしない。
「はーい、先生が上手く開けないみたいなので、器具を使います」
「ちょ、ちょっと」
 カバンから即座に、銀色に輝く器具を取り出したマサキ。
「はい、これがなにか分かる人居るかな……さすがにいないか、これはクスコという道具です、これをこうやって開くとクパァという感じでオマンコが開きます。ほら、子宮口までよく見えるようになったね。それじゃ、前列の子から、男子は順番に前に来てもっとよく観察するように」
「いやー、だ……だめえ」
「往生際が悪いなあ、先生は、もう立派な大人で既婚者なんだから、いまさらカマトトぶってもしょうがないでしょ、ほら手を後ろに回して、足をもっとよく開く。よろしい」
 こうして、自分の生徒たちの前に夕子はさらしものの教材にされる。
「女子は、ぼくが男性器を見せてあげるからね。こっちに来てね、興味のある娘は、さわってもいいけどやさしく触るようにね」
 マサキはマサキで、勝手に自分の貧相なものを見せ付けて、触らせて勃起させたりして楽しんでいるようだった。自分の生徒たちに、自分の一番見せてはならない部分をむき出しにしているという最悪の羞恥に耐えるので必死で、夕子はもうそんなことを気にするどころではなかったが。
 ヒナは、マサキに命令されているのか、マサキのチンコなど触りなれているからか、夕子の隣にいて大事なところを覗かれて羞恥のきわみに達している夕子の様子をずっと撮影していた。
「さあ、次行こうか。先生、もうクスコを引き抜いても良いですよ」
 マサキが、保健の教科書の次のページをめくって生徒に示す。ページには「受精のしくみ」とある。
 夕子が荒げた息を抑えて、ようやく自分の女性器から銀色の異物を引き抜くと。足を閉じて、くたっと身を横たえてしまう。
「もう……もう勘弁してください……」
 それにかまわずにマサキは授業を続ける。
「さあ、受精ってわかるかな……そうそう赤ちゃんができることだね。教科書に書いてあるように、男が女の膣の中に射精して、精子が卵子とくっつくのが受精だね」
 夕子が見てみるまえで、マサキは少し考え込むとおもむろに前列の男の子に聞いた。
「えっと、この教科書を見て受精って現象は具体的にわかる?」
 夕子は、がばっと起き上がって、必死に生徒に「わかるわよね!」と押し迫った。どうやら、早くもパターンが見えてきたようだ。さすがは先生、なかなか頭がよろしい。しかし、これはもう予定調和の流れで、生徒の答えは決まっている。

「わかりません」
 前列の男子生徒は、顔を赤らめながらも興奮したようにしっかりと言った。
「……そんなあ」
 夕子はがくっと落胆する。
「うーん、やっぱこんな抽象的な図解では分からないんだよ。しょうがないね、夕子先生ぼくらで実際にやってみせて分からせるしかないようだよ」
 そういって、ニンマリと笑うマサキ。
「いや、だめ……だめって、ほんとに!」
「だめも何も、これは先生のお仕事ですよ」
「なに言ってるか分かってるのマサキくん、私は既婚者なのよ。愛している旦那さんがいるの、その『受精のしくみ』ってつまりするってことでしょう」
「ふふ、なにをするんですかね」
「なにってセックスよ、私はごまかされないわよ……こんなのどう考えてもおかしいもの。理解の範疇を超えてる」
 火がついたように反論をまくし立てる夕子。
「じゃあ、夕子先生。入れやすいように、自分でオナニーして濡らしてください」
「そんなことするわけないじゃない……あれ」
 教卓の上に自ら座るようにして、自分のマンコをさわり始めた夕子。自分が自分でなにをしているのかとっさに分からず、呆然としているようだった。そんな間にも夕子の右手は必死に、自分のヴァギナ全体をまさぐり、さっき散々に弄られたクリトリスを刺激する。
「そんな……なにこれ、私は何をやってるの……」
「なにって、入れやすいようにオナニーを」
「そんなこと聞いてない、私こんなことするつもりはまったく」
「いやあ、先生立派ですよ。オナニーも同時に教育できる、まさに生きた教育ってやつですね」
「うっ……うっ……こんなの嘘よ、ありえない!」
 そう夕子が思っても、手は自分のそこを効果的に刺激していき、愛液で白く濁るぐらいにしっぽりとできあがっていってしまう。生徒たちは、特に前列の生徒は固唾を呑んで見守り、教室中が奇妙な緊迫感に包まれている。
「さあ、もうそんなもんでいいんじゃないですかね」
「うっ……なんで足が」
 マサキがそう声をかけると、夕子の足が「さあいらっしゃい」という感じで、ぐぐっと力いっぱい開くのだった。その太ももをつかむようにして、マサキはすでに準備バンバン整っているチンコをつきたて、挿入していく。
「ああ、この位置じゃぼくの尻しかみえないかな。みんな興味ある人は、教卓の前まで来て色んな角度でみていいぞ」
「だめ……見ちゃ駄目よみんな……」
 すでにいろんなシチュエーションでやることに慣れて鍛えられているマサキは、衆人環視の元でやっても萎えるほどやわではない。それに比べて夕子は、身体の自由は利かないし、自分の生徒たちにもっとも恥ずかしいところを見られるという最低の状況に、どうしようもなく手で顔を覆っていた。せめて、自分の快楽に歪む顔を、見られたくないと思ったのだ。
 すでに、接合部は夕子の意思に反してニュプチュプっと、いやらしい音を立てている。そして、多くの自分の教え子たちが……女子生徒までもが、固唾を呑んで見守っている。どうして、こんなことになったのだろう。あまりにも現実感のない光景に、自分でやられながらも気が遠くなるのだった。
「あっ……うっ……」
 それでも、快楽は腰の奥底から突きあがってくる。こればかりはどうすることもできないでいる。マサキは、止まってくれない。そして恐ろしいことに自分の腰もそれに動き合わせて動いているのだった。
「そんな……だめっ……」
 ほどなくして、競りあがってくる快楽に抵抗しきれなくなって、腰をガタガタと震わせて夕子はいってしまう。
「あっあぁああ!」
 思わず顔から手を離してしまった。体中の力が抜ける、自分のいやらしい顔をいやらしい吐息を、生徒たちに近くから見られてしまった。
「ああ……すごい締め付けだ。夕子先生の旦那さんがうらやましいですね。じゃあ、そろそろ中に出そうかな」
「え、出すって……まって、やめて! お願い外に」
「外に出したら、受精の授業にならないのでしょう」
「そんな……今日は本当に、だめな日なの!」
 あくまでも、受精の授業をやるつもりなのだ。夕子はマサキのことが、空恐ろしくなった。
「普段旦那さんとは、どうやってるんですか」
「ゴムつけてるに決まってるでしょ、私は仕事があるから、子供が出来たら困るのよ。ねえ、マサキくんほんとに……お願いだから」
「それはよかった、じゃあ確実にぼくの子供が産めますね」
「ああ……そんな!」
「みんなも受精の瞬間をよくみてろよ、今から夕子先生の膣の中に射精するからな。そうすると子宮で受精して子供ができます」
「だめぇー!!」
 ドクンと、夕子の膣のなかでマサキのものが大きく膨れ上がったのが分かった。その瞬間、無残にも夕子の妊娠可能な子宮口に向かって、たっぷりとマサキの精液が注ぎ込まれる。

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 マサキの精液が、夕子のなかでほとばしった。遮られるものもなく、マサキの粋の良い精液が夕子の子宮口から子宮へと殺到していく。
「ふう……たっぷりでたな、この夕子先生のオマンコからドロドロ出てきている白いのが精液です……女の中に入ると女は妊娠します」
 マサキは、チンポを引き抜くと、興味津々に見つめる生徒たちに、夕子の股を開いて説明する。そんなマサキの行動を非難する元気もなく、夕子は呆然自失であった。

「あああ……ほんとに中で……どうしよう私、旦那でない人に……」
「子供ができたら産休を取れば良いじゃないですか夕子先生。代用教員は、若い女の先生がいいですよね。またこうやって性教育ができますから」
 そうやって、落ち込んでいる夕子をそのままに、ニュプっと引き抜いて立ち上がる。ずっとビデオ撮影していたヒナに「もういいよ」と声をかけて、生徒たちに自分の席にもどるように告げる。
「さあ、ヒナ……クラスの名簿と詳細データを頼むよ」
「はい、マサキお兄様!」

 マサキは、データを読み生徒の席と名前を確認して大きくうなずくと。黒板に先ほどまでの文字を消して、その上に大きくチョークで楷書する。その文字は……。

「さあ、クラス総妊娠計画、第二段の始まりだ!」

 ここで一句……中二病、三年たったら、高二病。
 催眠術を手に入れたあの日から三年たって、立派な高校生になったマサキであったが、成長しても、催眠術師として一人前になっても、つまるところが、マサキのやることは何も変わっていないのであった。
終章「輝かしい未来へ」

 マサキが催眠を使い出してから半年が経過していた。
「あらあら……お帰りなさい」
 マサキがツバメと鳥取家に帰宅すると、大きなお腹を抱えた鶴奈さんがで迎えてくれた。庭先の小さなスペースを使って、鶴奈さんは季節の花を育てているので、その手入れをしているのだろう。無理は禁物だといったのだが、安定期に入っているので運動はしたほうがいいのだそうだ。
 最近、鶴奈さんは母乳がしっかりと出るようになってきた。今日あたり、また飲ませてもらおうかな。それとも、コーヒーにミルクとして入れるプレイがいいか。そんなことを考えていると、後ろからツバメに頭をはたかれた。
「あんた、へんな目で義姉さんをみるんじゃないの!」
「なんだよ……ぼくは、こう純粋に妊婦の美しさをだね……」
「はいはい、あー最近階段を登るのがしんどくなってきた」
 ツバメのお腹もけっこう出だしてきてるのだ。
「胸もまた大きくなってきたし、この前まで酷かった吐き気がおさまってきたとおもったら……今度は胸が張るのよね……ねえマサキ、どうしてだかしらない?」
「いや……成長期だからじゃない」
「そうなのかな、いやだなあ……」
 まだ、ツバメには妊娠していることを知覚させてない。そのうち、そのうちとごまかしているうちにこんなことになってしまった。バストもまた一回り大きくなってきたみたいだし、こんなのよくばれないよなあ。
「まあ、よくなるようにおっぱい吸うマッサージやってあげるから」
「ほんとによくなるの? まあ後でお願いするわ」

 マサキは、妊娠ですっかり乳輪が黒くなってしまっていてそれでもなお、いっそう美しいと思えるツバメの乳を吸いまくった。濃密な甘い味がする、乳腺を刺激し続けた甲斐もあったのか、ほんの少しミルクが出るようになってきた。
 そして、愛しげにツバメの腹をさすりながらマサキはこれまでのことを考える。

 ツバメと希の妊娠がきちっと分かったあとで、まだ妊娠していない女子には、例の排卵誘発剤を使ってきちっと妊娠させた。効き目は強力ということでどんな子供が生まれてくるか今から楽しみだ。

 多数の妊婦の世話に備えてDLOから来た医師は、犬居伊知朗というぱっとしない中年の先生だった。しょぼくれた中年親父だとも思ったが、さすがに医師らしく白衣を着て仕事に望む姿は、それなりの威厳と風格があった。こんな立派そうな人がDLOに身を寄せているのは意外だとも思ったのだが。
「これでも、総合病院の産婦人科の医長をやってるんですけどね」
「そうなんですか……よろしくおねがいします」
「出張の仕事は部下に任せるんですが、今回は特別です。それにしても、中学生妊婦とは……診察がとても、楽しみですなあ」
 そういっていやらしげに手をくねらせて笑う。その顔は、ただのスケベ親父だ。やっぱり、DLOメンバーなだけのことはある。
 本当に、この医師に任せて大丈夫だろうか。ネット探偵は名医だと言っていたのだが。マサキには産婦人科医の知り合いに他に伝がないので、この人に任せるしかないのだ。とりあえず、先にクラス全員を妊娠させておいて正解だった。

 そういえば、ネット探偵の正体もマサキには意外だった。クラス全員の女子のお腹が大きくなったこの壮大な光景を自慢したくて、ネット探偵を学校に呼んでみたのだが……やってきたのは自分のクラスの担任だったのだ。

「先生が……ネット探偵だったんですか」
「ああ……見事な催眠術師になったな、安西マサキ」
「……」
「だから君へのイジメを止められなかった私を許してくれとは言わない、言う資格はない」

 DLOからも正式メンバーとしての認可が下りるようにネット探偵……いや、このクラスの担任である相模原政明は掛け合ってくれたらしい。ネットゲームの世界で、相模原先生とマサキが会ったのも偶然ではなく、最初から先生が仕組んだことだったのだ。
 相模原政明はDLOで『最弱の催眠術師』と言われている。催眠の才能が皆無で、どうやっても自分では一切催眠術は使えないからだ。それでイジメを止めることもできず、ずっとマサキのことは気にかけていて、DLOで新型催眠器具のテスター養成を担当している自分の立場を利用するという方法でしか、マサキを救えなかったのだという。
 相模原先生のいうことはわかる。マサキが救われたのはネット探偵のおかげ、そのことは心から感謝する。だが、教師として許せるかというと、まだそんな気にはマサキはなれなかった。
 それでも、許すべきなのだろう。佐藤理沙のこともあるのだから。

 マサキは、ツバメのお腹をゆっくりマッサージしながら、お腹に詰まっているツバメとマサキとの子供のことを考える。
「あっ……いま少し動いたかな」
「もう、何をわけのわからないことをいって……ちゃんとマッサージしなさいよ」
 まだ胎動を感じるようになる時期には少し早いはずだ。きっとマサキの気のせいだったのだろう。それでもツバメのお腹には、そして鳥取鶴奈や佐藤理沙や円藤希の中にはマサキの子供たちが詰まっている。
 それは、マサキの輝かしい未来の象徴に思えた。ツバメの、そしてクラスの女子たちの子供がみんな無事に生まれてきたら、そのときがきたら全ての過去を水に流してしまおう。相模原先生だけじゃない、自分をイジメ虐げてきた人間全てを許すのだ。
 そして、マサキは自分が求める催眠術を手に入れる。輝かしい未来を。その熱を、その光を、マサキは今この瞬間確かに感じて、この手で優しく抱きしめられるのだから。

――――

 保健室で、アルジェが荷物をまとめているところに、教員の相模原政明が入ってきて声をかけた。
「いくんですか、アルジェ・ハイゼンベルク」
「ああ、ここまで来たら私の力も必要ないからな。相模原、私のことを暇人だと思ってるんじゃないだろうな」
「まさか、ご多忙は承知してました」
「ここまでやれば、お前も満足だろう。ミドルスクールというやつにも一度行ってみたかったからいい機会だった、まさか保健の先生をさせられるとは思ってなかったが、楽しかったよ今度の休暇は」
「今回のこと、ありがとうございました。おかげで、安西マサキを救うことができました」
「あれは、いい人材に育ったな。お前も立派な教師をしてるじゃないか。あの年齢で、あれだけの知性を見せる生徒は、うちの研究所でもそうはいないぞ」
「天才少女の貴女がいうと皮肉ですね……それに、私は悪い教師ですよ。安西マサキを救うために、佐藤理沙を損なってしまったんですから」

 相模原政明も教育者でありながらDLOに身を寄せている身。決して善人であるわけではない。ただ、自分が過去にイジメを受けていた経験から、マサキは救ってやりたいと思っただけだ。それでも、それによって傷つき心を失ってしまった少女を見たときに、自分の行動は本当にそれでよかったのかと自問せざる得ない。地獄から一人の若者を救い出したために、一人の少女が地獄に落ちる。だったら、自分のやってしまった行為とは何なのだ。

 黒いメイド服をつけて人形になっている佐藤理沙は、これまで長らくメイドとして仕えてきたアルジェが出て行くことも必要がなければ知覚しない。ただ、理沙の瞳は虚空を見ているだけだった。彼女の心は、今も闇に覆われている。

「お前はよくやってるよ。全てを救うことなど、この私でも無理なのだから」
 佐藤理沙への呼びかけは、マサキだけではなくて相模原政明も時間を見てやっていた。このような事態を招いてしまった彼なりの贖罪なのだろう。
「そうですが、それでも私は……」
「そうやってウダウダする男は嫌いだ――それとも、マサキだけじゃなくてお前までカウンセリングが必要か」
 そういって、アルジェは小さく笑う。
「冗談は、やめてくださいよ」
「お前らは、すぐ悪だの善だのいって自分の行動を評価するが全部下らんことだ。人間は自分が正しいと思ったことをやればいい。あとは強さが正しさを証明してくれる。安心しろ、お前は正しかった。私を動かせたのだからな、その時点で勝利だ」
「はぁ……貴女らしいご見識です」
 それでも、やはり相模原政明の声に元気はなかった。
 アルジェはムッとして、テーブルに催眠装置を置く。
「マサキに置き土産だ、この装置を身につければ、半径一メートル以内に微量の催眠電波が流れて周りの知覚を誤認させることができる」
「これは……アクセサリータイプ?」
「だからだな、これを使えば女子中学生妊婦が街をうろつき回っても不審がられないということだ。マサキはマサキで対策を考えていたようだが、これなら完璧だから。マサキにやっておいてくれ、あとは任せたぞ」
 そういって、アルジェはトランク一つを抱えて部屋を出ていく。それを見送ろうとする相模原にアルジェは思い出したように振り返って笑いかけた。
「ああ一つ、言い忘れた。佐藤理沙の心はもう元に戻っているぞ」
「へぇ…………は!?」

「だから理沙の心は戻っているといったんだ。理沙、人形化を解いてこっちに来い」
 アルジェがそういうと、理沙はそろそろと歩いて二人の前に来た。相模原が思わず、理沙の顔を覗き込む、理沙の目にはちゃんと意思の光があった。
「理沙……大丈夫なのか?」
 そういって、理沙を抱きかかえていう相模原。
「きゃ、大丈夫じゃないですよ……先生」
 ちゃんと反応して、苦しそうな声を出す理沙を半年振りに見た相模原は、思わず泣いていた。
「ううっ……理沙……理沙……よかったなあ」
「……だからよくないですって……はぁ」
「理沙、もういいぞ人形に戻れ」
 アルジェがそういうと、また理沙は物言わぬ人形に戻ってしまう。
「あ! なんで理沙を人形に戻したんですか!?」
「近くで叫ぶな、うるさい。理沙は今妊娠中だから、出産までは人形化しておいたほうが万が一のトラブルがなくていいんだ。女性は妊娠中は精神に均衡を欠くことが多い、余計なリスクは避けたほうがいい。マサキにはいうなよ、あいつが知ったらすぐ人形化を解こうとするから、人形化している間も理沙の人格は働いているし、これは理沙自身が望んだことでもある」
「……そうですか、無思慮で申し訳ありませんでした」
「まったく、バラバラに砕け散った心と記憶をつなぎ合わせるのに、私がどんなに苦労したと思ってるんだ。理沙への呼びかけは続けておけよ、とりあえず呼び戻しただけで理沙がもう一度生きることを望まなければ、私の努力も無駄に終わるのだからな」
「はい、肝に銘じておきます」
「ふん相模原、お前は私にどれだけ感謝してもし足りないぐらいだぞ、これで貸し二つだからな」
「はぁ……重ねて感謝します」
「まあ、本当は心が壊れて人形化した理沙の淹れたコーヒーが不味かったのが、元に戻した理由なんだけどな」
「貴女は、あいかわらずですね」
 そう呆れたように苦笑する、それで相模原の声に元気が戻ったのを確認したアルジェはとても楽しげだった。
「フフッ、だから、私を動かせた時点で勝利だといったんだよ」
「そのようです、友情に感謝します」
「麗しき友情か。だが、友達といっても、貸しは貸しだからな。今度たっぷり返してもらうから覚悟しておけ、相模原政明。どんな補助器具を使ってもお前が一切催眠術を使えないのは、まれに見る強力な抗催眠体質だからだ。お前の才能を理解できないで『最弱の催眠術師』呼ばわりしているDLOの技術者はやっぱり二流ぞろいだな。お前の脳みそを開けて調べれば、どんなサイコディフェンスシステムが作れるか。フハハハハ、いまから楽しみじゃないか」
「貴女に貸しを作り過ぎましたから、覚悟してます。そのときは、お手柔らかにお願いします」
「じゃあ、また今度日本に来たときに会おう」

 そういうとアルジェは、振り返らずに歩いていった。アメリカでの予定を消化して、相模原政明の体質を調査、データ収集するための人員と機材を集めて、日本に来るのは半年はかかる。
 そのときは、マサキの「クラス総妊娠計画」も完成を見せていることだろう。弟子が成長して、一人立ちする姿を見るのは良いものだ。そして、そのとき完全に回復した佐藤理沙に、うまいコーヒーを淹れてもらえたら最高なのだが。

 ……と、そこまでいい気分で考えて、アルジェは自分が帰る研究所の泥のようなコーヒーの味を思い出して顔をしかめるのだった。

「中二病の催眠術」 完成 著作ヤラナイカー


第十八章「希の懐妊」

 女子陸上部、県大会百メートル代表決定戦が校内のグラウンドを貸しきって行われている。うちの陸上部は県内では有名なので、マサキはついでに見に行ったのだが結構盛り上がってるみたいだった。
「きゃー喜志さんがんばれ!」
「今年は、円藤先輩が勝つわよ!」
 ちょうど、数人の女子選手がコースに並んでいる。円藤希の隣にいるのが、ライバルの喜志か。希には負けるが、結構可愛いじゃないか。
 そんなことを考えているうちに、走り始めた、すごい速さだ。円藤の走りを超人的だと思ったマサキだが、喜志という選手も初速がすごい。鍛錬に加え、足のバネのつくりが常人とは違うんだろうな。
 それでも、円藤には催眠によるイメージトレーニングがある。弱点だった初っ端の踏ん張りも見事に決まっていて、喜志と互角。いや……少しだけ勝っている。
 そう思った瞬間にゴールしていた。僅差だが、希の勝利。よかった、正直どこまで催眠トレーニングの効果があるか心配だったのだが、我がことのように嬉しいマサキである。
「今年は、負けちゃったわね……大会、私の分もがんばってね」
 喜志は負けたにもかかわらず、笑顔で希の肩をたたく。負けたのは残念だった。だが、円藤希が、毎朝毎晩どれほど過酷な練習メニューをこなしていたのか、ライバルだった喜志が一番知っていたからだ。
「うん、ありがとう。秋の大会には出れなくなったから、その分も今回はがんばるよ」
「え? そうなの何かあるの」
 自分以上に陸上に打ち込んでいる円藤が休む理由なんて考えられなくて、驚く喜志。
「秘密、でもその分、今回の大会がんばるから」
 そうなのだ、円藤希はこの直後の県大会には出れるだろうが、その次の大会は走れない。その秘密を知っているのは、この中ではマサキだけだった。

 みんなに、賞賛の声を駆けられながらグラウンドを去る希を追って、マサキは声をかけた。
「円藤……おめでとう勝ったんだな」
「マサキ……、見ててくれたんだな」
 そういって、希は笑う。二人は話しながら、連れ立って歩いていく。
「ぼくがやってやったのは、そのためもあるんだからな」
「素直に、礼をいう。ありがとう……」
 そんなことを話しながら二人は、体育館の影にある男子トイレに入っていく。
「清掃中」の標識と一緒に、誰も入らないように見張りをしているマサキの部下の種付け隊の一人が立っていて、通りかかるマサキに黙礼する。

 二人は、そのまま一番奥の便器に入っていく。
「今日はあまり時間がないから、自分でぬらせよ」
「ごめんマサキ……せめて手だけ洗わせてくれ」
「ああ、それぐらいはいい」

 希は、手早く手を洗うと、便器に座るマサキの目の前に立って、赤い運動服の下と下着を脱いで、マサキに手渡す。マサキは、その下着にこびりついた汗の匂いをかぐわしいもののように嗅ぐ。
 マサキの股間のものが、匂いでムクムクと起き上がりつつあった。
 そんなマサキの股間のものを見ながら、声をあげて希はオナニーを始めた。最近、いろいろやって刺激しているクリトリスも剥いて、なかなか堂に入ったオナニーだった。希は余計なことは考えない、時間がないとマサキに言われたから、とにかく濡らすことに集中する。

「ふっ……くっ……」
「希、おっぱいも自分でいじくると早く濡れるぞ」
「いわないで……」
「じれったいな……舐めてやるからこっちの顔にもってこいよ」

 指示に素直に従って、希は性器をマサキの顔に押し付けるようにする。それを、いとおしげに舐めるマサキ。希は、その間も自分の乳頭をいじくって、性感を高めるように努力した。

「汗の味と、おまえの味が混じって……なかなか美味しいぞ」
「だから……そんなこといわないでって」

 マサキは、希が運動してたっぷりかいた汗と体臭を楽しむために、希の部活直後にこうやって人気のない男子トイレで抱くということをたまにやる。堂々たる変態っぷりである。今日はちょうどその日だった。

「よし、もういいぞ。腰を下ろして挿入しろ」
「はあぁ……入った」

 ニュプっといやらしい音を立てて、ゆっくりと腰をうずめていく。そのまま体重をかけないように、腰を振る希。マサキは、座ってるだけで楽チンだった。まあ、希は体力があるからこれぐらいやらないと、マサキが体力負けしてしまうからでもある。

「あいかわらず……お前のピストンは激しく気持ちいいな」
「気持ち良い……よかった……」
「なあ、希……お前妊娠したのか?」
「はい、まだ調べてないけど生理来てないので多分」
「そうか……うっ……お前には悪いと思ってるよ」
「なんで」

 腰を止めて、マサキを見下ろす希。意外そうな顔だった。

「だって、しばらく部活できないし、今度の県大会もつわりとかあったら」
「そんなことか」
 そういって、希は笑う。
「上の口で喋ってても、下の口も動かしておけ」
「ごめん……あのね、私が県大会で活躍したかったわけじゃなくて……ふっん……そうだね……喜志さんに勝ちたかっただけなのかもしれないと今日勝っておもった」
「そうか、希は負けず嫌いだからな」
「もちろん、県大会はがんばるけど、なんか今日喜志さんに勝って全部がすっきりした。私は一緒にやっている仲間の、誰よりも早くなれたと証明出来たらそれでよかったんだと思う」
「そうか……」
「だから、いいの……ありがとう本当に」
「ぼくじゃない、お前ががんばったからだよ」
「それでも」
「ううっ……でそうだ」
「中に頂戴……」

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 希は、抱え込むようにマサキの身体をゆっくりと抱きしめると、自分の中でピュルピュルとはじけるマサキの飛まつを感じる。マサキは、そんな希の腹をさする。

「このなかに、もうぼくの子供が入ってるんだな」
「まだわからないよ……でもそうかな」
「よし、今日はこれでいい。抜いて綺麗にしろ」

 マサキがそういうと、希はさっと上からどいてマサキの一物を綺麗に舐め取っていく。尿道口に残った精液の一滴までも吸い上げると、マサキの中出し精液がたっぷりと膣につまったままで、マサキから受け取った下着と運動服を穿いた。

「もういいよね、私はやっぱりもう少し練習してくる。代表で出るのに、県大会で変な成績のこせないから」
「ああ、お前は立派だよ。悔いが残らないように」
「私の夢はもう叶ったから……あとは、マサキの元気な赤ちゃん産んであげるよ」
 そういって、言ったのが恥ずかしかったのか駆けていってしまった。マサキも、男子トイレから出て、種付け隊の黙礼を受ける。種付け隊は、これから痕跡が残らないようにトイレを清掃するのだ。
 マサキが校舎から出ようとすると、遠目に一人でグラウンドを走っている希が見えた。
 円藤希は走り続けていた。誰よりも懸命に、どこまでも、前を見つめて。

「お前は、いい母親になるさ」
 マサキは、そうつぶやくと学校から出て行った。




プロフィール

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロの小説書きになりました。ちょっと忙しくなるのでご迷惑をおかけするとおもいますが、月一更新を目標にやっていこうと思いますので、今後ともよろしくおねがいします。



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