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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
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終章「天使」
 目の前に天使としか言いようのないものが見える。まるで美の女神を描いた名画のような現実離れした姿態に、金色のローブに身をまとい羽の生えたエンジェルが、服の色と同じ輝きと柔らかさを持った髪はこの止まった世界に時を取り戻してくれるようだった。それは見るものの心を暖かくしてくれるような美しい光景なのだが。気になったのはその右手に持った不釣合いなほどの禍々しい三叉の矛。
 天使は、頬を緩め笑顔を作る。その笑顔の優しいこと。だが、それに反して高々と天に突き上げた羽はこわばり、一瞬の時間差を置いて右手の矛をこちらに向けて力いっぱい投げつけてきた。とんでもない夢だなと思考する。
 その途端に時の止まった世界の静寂は破れて、矛は爆音を上げながら、ぼくの数センチ先の床を粉々に破壊して突き刺さった。破片がビチビチと、ぼくの顔や身体に飛び散り、その小さな痛みで、これが現実であることに気がついた。
「おや、外しましたか」
 天使が慈愛の笑みを浮かべたまま、こちらにゆっくりと近づいてくる。
 寝ぼけていた頭が急速に覚醒する。ここは、さっきいたスタジオ。周りを見渡せば止まった人ばかりで、時の止まった世界はそのままだ。心地よい射精の気持ちよさで、少し意識が抜けていたらしい。それにしても、目の前の天使はなんだ。考える前に目前の危機を避けるほうが先だ、ぼくは飛びのくようにしてスタジオを駆け抜けて逃げた。
 全力疾走で迷路のようなテレビ局の通路を走る。こんなに必死に走ったのは久しぶりだ。疲れはまったく感じない、この世界になってからというもの精力も体力も、極限まで高められているからだ。身体の芯が熱くなるような躍動感に支配されて、ぼくは通路をひた走る。
 走りながら考える。あまりの無茶苦茶さに、まったく現実味というものを感じない。いったいなんなんだこの展開、なぜ天使が。そこまで考えて、ちょっと後ろを振り返ってみると。

「ちょ!」
 さっきの矛を構えて、羽根で滑空しながら飛んで追っかけてきている。やっぱり空を飛ぶのかよ。そうか、わかったぞ。人間とちょっと違う硬質なこの雰囲気が、サウサに似ているんだ。格好が天使だから、天使と思ったがこの物理法則の無視っぷりは、同じ種類のものだ。そうするとこれはあっちがらみのトラブルか。
 考えるまもなく、距離を詰められる。吸い付くように滑空して接近してくる。こっちは、たぶん人間としての体力の限界まで強化されてるはずなのに。それ以上の速度か。直線だと負ける、障害物を盾にするしかないと思って、ジグザグにわき道にそれまくる。足が滑って少しドリフトするぐらいの勢い。
 路地を曲がった瞬間に、肩に風を感じてまた壁の砕ける音が。たぶん矛を投げたな。ジグザグに動いたのは正解だったか。矛を拾うだけの時間は稼げるはずだ。いつしか、建物の外に飛び出して中庭のようなところに出てしまった。これはマズイ、障害物がないと飛べる相手のほうが有利だ。
「うあーこんなところで、わけもわからず死ぬのかよ」
 そう叫んだ瞬間、身体がふわりと浮き上がった。何かに手を掴まれてる、天使につかまってジ・エンドかと思ったら、この小さい手には見覚えが。振り向くとやっぱり青い髪を振り乱したサウサがぼくを掴んで、空を滑空していた。見る間にテレビ局を離れて、海の方に飛んでいく。すごいスピードだ、本気出すと早いんだなサウサ。
「助かったよサウサ」
「いや、あれはこっちがらみのトラブルだから」
 そういって、あとは前を向いて押し黙って飛ぶ。余裕はないらしい。こんな本気の表情のサウサは始めてみるかもしれない。後ろを振り返ると、さっきの天使が同じぐらいの速度で追いかけてきているのが見える。サウサの小さい手でも、割合がっしりと掴まれてるらしくて安心感がある。
 手持ちぶたさで、なんというかまだ現実感が薄かったぼくは、これ幸いとサウサの胸を触ってみることにした。プニプニっと。
 うーむ、小ぶりだが、いい感触。身体にぴったりとフィットしたスーツ越しなのが惜しいぐらい。ひと揉みすると、グンっとサウサがさらに速度をあげてぼくの身体が吹き飛ばされそうになる。まだ速度あげられたんだ。
「おまえ、あとで覚えてろよ」
 サウサがドスを効かせた声で叫ぶと、さらに顔を険しくして速度をあげた。まあ死ぬほど冷たい目だ。どうやらさっきの飛ぶ速度はこっちにあわせて調節してくれていたらしい。まるで、高速でぶっ飛ばしている車の上で半身さらしてるような風速に、さすがに胸揉む余裕はなくなった。怖いよーとか、無駄に抱きついてみたが、その感触の心地よさを感じる場合じゃない爆風。さらに錐もみ回転。吐き気を通り越して、魂が抜けるような低血圧を感じた。少しの時間ならともかく、ずっと爆風にぶち当てられてると、身体ってどんどん疲弊していくと始めて知る。すごく、身体が寒くなってきた。
 薄れ掛けてきた意識を振り絞って、目の前を見ると眼下に何か大きいものが近づいてきた。船だな、あれは。そう思考してまもなく、速度を落とさずに甲板へと落ちるように着陸した。
「ぎゃああ」
 思わず叫んでしまったが、着陸の衝撃は少なかった。甲板が柔らかく迎えてくれるような感触。トランポリンみたいだ。
「きたな」
 こっちを床に放り出すと、サウサは両手を広げて迎撃の態勢をとった。次の瞬間、天使がさっきのまがまがしい矛を構えて突っ込んでくるのが見える。ぶつかったと思った瞬間、ものすごい爆音を上げて、船の甲板が砕けて四散した。
「うおおお、放せ」
 矛を振り回しながら暴れる天使の身体に、身体に触手のようなものがまとわりついていた。何だこれはと、叫ぶ間に砕けた船の甲板から生えるたくさんの触手のようなものに掴まれて、床にたたき伏せられる天使。
「罠にかかったな」
 身動きが取れなくなった天使の頭を蹴っ飛ばすサウサ。鬼の形相だ。
「これが分かるか」
「委任状……だと」
「そうだ、私は裁定会議の全権委任を受けている。いまなら、あらゆる物理法則が操れるんだ」
「ぐげええ」
 天使は触手に身体を強く締め付けられ悲鳴を上げた。肋骨かどこかの骨が折れる音がした。
「油断したな、同等の悪魔だと思って」
 天使はなみだ目になって、ぼくのほうを向いた。
「おい人間……助けろ。私は天使だぞ、お前を天界に導いてやるぞ」
 助けろって、まあ少しかわいそうだと思うけど無理だろ。
「おい、だまされるなよ。こいつは天使なんかじゃない」
 そう笑いながら、サウサは骨の折れたであろう背中をさらに踏みつけた。綺麗な羽根が、へし折れてしまった。惨い。
「神の世界を捻じ曲げる悪魔が、何を言うか!」
 そう悪態つくだけの元気はまだ天使にはあるようだった。きっと人間とは体力の出来が違うんだろう。それでも、辛そうなのは変わらなかった。
「こいつらはな、元人間の悪魔なんだ」
「元人間?」
 ちょっと興味が沸く話題だったので聞き返した。ぼくだって殺されかけたんだから知る権利はあるだろう。
「お前たち複雑な心理構造を持つ人間が生まれたこの星が管轄に入ったとき、悪魔の数が足りなくて人間をベースに粗製濫造された悪魔が、こいつら天使を自称している悪魔だ」 そういって、憎々しげにサウサは小さい足に力を込める。そのたびに骨がきしむ音がして、天使は悲鳴をあげる。悲惨な光景だ。
「元人間ごときが、われわれ純粋な悪魔と同等の力を得て、反逆する。しかもこいつらは一神教の神の使いに擬して、人間を騙して無償で魂を手に入れているんだ」
「私たちに着いてくれば人間には救いが……」
「何が救いか、だまされるなよ。こいつらに従っても、人間牧場で永久に奴隷としてこき使われるだけだ」
「悪魔が……」
 さらに力を込めて足を床にたたきつけたサウサ。完全に砕ける音がして、ぐちゃりと倒れ臥して天使は黙り込んだ。
「ここまで痛めつけても、こいつらは私と一緒で死なないんだ。いまいましいものだな。さてどうしてやるか、永久に地中と結びつけて封印でもしてやるかな」
 しばし考えるようだったサウサ。天使は、完全に骨を砕かれて羽根は折れてしまっていたが、ピクピクと震える間に身体の再生を始めているようだった。しかし、身体はしっかりと触手がロープのように巻きついていて、身動きは取れるものではない。
「そうだ、面白いことを考えた」
 サウサは、そういってぼくに笑いかけた。
「おまえ、こいつを犯さないか」
「えー」
 まさか、そう来るとは思わなかった。天使か、元悪魔か知らないがいいのか。
「こいつは元人間だからな、ちゃんと受胎するだけの構造は備えているはずだ」
 そういわれて床で死んだように寝そべっていた天使は、震えるように身体をこわばらせて暴れ始めた、二本三本と触手をぶちぎって、なんとか空に舞い上がろうとする。それでも、その身体にさらに複数の触手が巻きついて、空中で八つ裂きにされる罪人のように両手両足を縛られて、身動きが取れなくされた。
「はなーせ! 何を考えているのよ!」
 信じられないという青ざめた顔で、空から見下ろしている天使。ああ見ると、ただ犯されるのを待っているような白人の綺麗なねーちゃんに見えないこともない。犯すのは可能だとサウサに伝えると、サウサは悪魔的なとしか言いようがない表情を浮かべた。
 天使が持っていた矛を拾うと、サウサはそれを一閃した。はらりと、天使が着ていたローブや下着などがすべて切り裂かれて、その肢体をわれわれの眼前に晒した。
「や、やめて」
 結構しおらしい感じになった。サウサは爆笑をこらえているという感じだ。
「全権委任状は、あらゆる物理法則を操作できるからな、こういう使い方もできる」
 そういうと、天使のむき出しになった股から鮮血が滲んだ。
「ぎゃーー」
 天使は、顔から血の気が引くほどに青ざめた。
「くく……月経がちゃんと来たようでよかったじゃないか。千年ぶりぐらいの生理なんじゃないのか。よかったな、女の機能がちゃんと残ってて」
 そういって、サウサは意地悪げに笑う。
「謝るから……助けて、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
 身体は触手にピンと縛り付けられて、胸は股などの大事な部分だけがあらわにされて身動きが出来ない状態。これ以上扇情的な体勢もないだろう、サウサが操作しているのかぼくが嬲りやすい位置まで降りてくる。
「天使に触ったら罰があたるわよ!」
 それにサウサが身をよじるように爆笑する。
「罰だってよ、当ててもらおうじゃないか」
 言うなりに犯すぼくがいうことでもないだろうが、こいつ性格悪いな。
「いや、お願い止めて」
 ポロポロと涙を流しながら懇願する天使。ぼくは結構冷静で、こうなってしまうと普通の女と変わらないなという気持ちも出てくる。少し、可哀想かもしれないが。そそられるのも事実だし、そういいつつちょっと手を伸ばしてみる。
「いやー止めて」
 ちょっと胸触っただけなのに、すごい過剰反応。サウサでもそんなに騒がなかったぞ。 サウサは、どっからか椅子を引っ張り出してきて、ゆっくりと眺める様子だ。いつも犯してるシーンとか見に来ないのに、よっぽどこいつらになにか腹に据えかねることがあったらしい。
 ぼくは天使の腰に手を回して、口付けをしてみることにした。とたんに歯をむき出しにして噛もうとしてくる。獣かよ。
「おっと、口は止めたほうがいいぞ」
 そう、サウサがいうと小さい触手が噛もうとした天使の口に猿轡をかける。
「ぐぁ……だげ……が」
 こうなってしまうと、もう何をいっているのかわからないけど、顔を真っ赤にしてそれなりに迫力ある形相で叫んでいる。そういや、さっき殺されかけたんだよなぼくは。なら犯すぐらいしてもいいんじゃないのか。
 そう思い立って、オマンコを手で弄っていることにした。ちょっと肌に触れるだけで、全身をこわばらせるのは変わらない。なんて綺麗な陰毛なんだろう。純金を伸ばして作られた作りものだと言われても信じてしまいそうだ。そして、薄ピンク色の下の唇。
 ビクッと、そこに触れると天使の身体がものすごい力で震えた。それにちょっとビビリつつも、ゆっくりとその入り口を開いていく。どんなに、磨き上げられた女であったとしても、オマンコの中というのは海産物系のグロテスクさがあるのだ。
 それに比べて、天使の穴というのは、本当に綺麗なものだった。それこそ、神というなの職人が一寸の隙もなく襞一枚一枚を丁寧に作ったようだ。そんな創造物めいた美しさでも、指を入れて触れるとちゃんと汁も出すし、暖かい。そっと、押し開いて舌舐め取ってみると、ほのかに甘い味が広がった。
 甘いわけがないのだが、甘いと舌が知覚した。汚れとか、混じりけのない女性が分泌する液そのものをぼくは舐めているという気がした。その瞬間に、腰が熱くなって痛いほどぼくは勃起しているのが分かった。すぐさま服を脱いで、余韻もへったくれもなく動物のように挿入した。
 天使は、身をよじりながら、獣の彷徨のような叫びを上げる。それを可哀想だとか、気持ちがいいとか感じる余裕すらなく、ぼくはただ腰の熱い塊をこの肉襞の奥底にぶちまけるためだけに動いていた。なんという感触だろう、肉の襞の一枚一枚がぼくを包み込むみたいにして受け入れてくれていた。混じりけのないセックス。意識が吹き飛んで、ただピストンをするためだけに、息を吐いて息を吸って身体を嬲って、嬲り続けた。
 天使は気丈にも、まだこの生殖器が繋がってる状況で、にらみつけるだけの元気があるようだった。首に巻きついた触手を振りほどこうとしながらも、こちらを殺しかからんばかりの鋭い目つきでにらみつけてくる。ほんとに大丈夫だろうな、作り物めいた美貌を汚すのはたまらないのだが。人外の者を敵に回すのは、正直背筋が凍る思いだ。しかしここまでそそられて止めるわけにも、もう身体がいかないので、サウサの力を信じることにした。ふと、後ろに陣取っているサウサを眺めると、ニヤニヤとした目つきでもっとやれと即した。覚悟を決めてやるしかないな。
 中途半端が一番よくないのだ、目の前の小さめの乳房を力強く揉みしだき、腰を思いのままに振って、亀頭に力を込めた。小さめの天使の背に手を回して、ぐっと抱きしめると腰から熱い熱い塊が競りあがってくるのを感じる。顔を舐めて、その目をよく見つめて、出すぞといってやったら、天使が身をよじるようにして何かを叫んだ。猿轡を血がにじむほどにかみ締めているようだが。もうどっちにしても手遅れだ。ぼくは、腰の熱さをためらうことなく解き放った。

 ドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!

 永遠とも思える余韻。腰は快楽に踊り、最後の一滴まで出し切らんと動き続けている。まるで、自分の欲望のすべてが吐き出されてしまったような心地よさだった。
「終わったか」
 静かに、後ろからサウサが声をかけた。
「ああ……」
 ぼくはもう余韻で、答えるまもなく振り向いてサウサの視線に押しのけられるようにして後ろに引いた。サウサは、口の猿轡だけ解いたようだった。口が自由になった天使は、サウサを睨みつけて、サウサの顔に唾を吐きかけた。
「天使様とやらは、品がないな。所詮人間が元だからな」
「殺してやる、お前らを殺しつくしてやるぞ!」
 どこから出しているのか分からないほどの猛獣が吼えるような声の大きさに、よろめいたぼくにサウサは小さく心配いらないと声をかけてくれる。サウサの声には、力があるのかよろめいた身体に力が戻った。
 さらに悪態つく天使の叫びを無視して、むき出しの天使の腹に手をかざしてサウサは静かに宣告する。
「排卵、着床、受胎……」
 天使が受胎告知されるというのは皮肉なものだ。もう、天使の叫びは意味を持たなかった身体をよじりながら、ただサウサの力に抗おうとする。その衝撃で、船全体が揺れる。それでも、サウサはただ爽やかに笑うだけだったので、ぼくも安心してみていた。やがて、天使の腹が徐々にせりあがってくる。天使は鳴いた。泣いたのではなくて、鳴いた。それは言葉として意味をなさない慟哭だった。
 なおも天使を無視して、サウサはぼくに振り返った。
「なあ、どうする」
 なにがどうするだろう聞き返してみる。
「このままだと、この天使は子供が生まれても、子供を殺すぞ」
「当たり前だ、こんな子供が認められるものか!」
 天使が、なおも叫んだ。
「うるさいお前の意見は聞いていない。悪魔と人間の合いの子とか、珍しいケースだからな。うちの上層部も興味を示すかもしれん。父親としての意見を聞いているのだ」
 父親としての、という部分を強調してサウサはいった。たぶん天使に対するあてつけだろう。ぼくは、子供が元気なのに越したことはないというようなことをしどろもどろでいった。やっぱり性欲が抜けて冷静になると、人外の力を持った存在に恨まれてにらみつけられるというのは背筋が寒くなる。
「じゃ、このまま生ませてしまうか」
 こともなげにサウサはいうと、天使がまた絶叫をあげた。腹は見るも無残に膨れ上がって破水して出産を始めたのだ。ぼくも、同じことを何度もやったから見慣れてきている光景だ。あえてサウサは時間をかけたのかもしれない、生まれてきた子供の髪は母親と同じ柔らかい金髪だった。
 出産が終わった、天使は魂が抜けたようにぐったりと倒れた。ただ、赤子の鳴き声だけが響き渡った。
「この子供は、うちで預かるがいいか」
「あ……ああ」
「しっかりしろよ、お父さん」
 そういってサウサはこれまで見せたこともないような清々しい笑いを見せた。ほんとに性格が悪いと思った、ぼくも人のことは言えないが。魂が抜けたような天使と産み落とされた赤子は、サウサの操作でどこかへと送られて消えた。

「なあ」
 サウサから声をかけられるとは思ってなかったので、少し驚いて振り返る。
「お前の棲んでた町って、あの向こう側の陸地じゃなかったか」
 うーんそういえば、あの湾の形には見覚えがあるような気もする。そんなところまで飛んできていたのか。何百キロもの距離をぐるっと一周して戻ってきたことになると思うと、それなりに感慨深いものがあった。
「今回のことは、不穏分子にもいい戒めになった。こちらもお前の命をおとりにしたことで負い目があるから、功績も鑑みて、いまなら特別にすべてを元に戻してやってもいいぞ。お前の魂はいらないから、全部元に戻す。お前はこれから、元の場所に帰って新しく人生をやり直したらいい。そのチャンスをやろうか」
 それは、思いもよらない提案だった。
「どうだ、そろそろやり尽くして飽きたんじゃないか。悪魔に魂を握られるっていうのは、辛いことなんだぞ。限りある生を生きる人間に、永遠は長すぎるからな。いまならこの全権委任状があるから、全部元に戻せる」
 そういって、サウサはぼくに、初めて本当の優しい表情を見せた。答えによっては、これが最後になるからかもしれない。
 それには答えずに、ぼくは自分の住んでいた町のほうではなくて、外海の向こう側を見た。止まった世界でも、潮の香りはちゃんとする。この小さな島国の向こう側に何百倍もの広さの世界は広がっている。
「この客船なら、食料もその間に遊ぶ人間も十分だな」
「おまえ、何を言っている」
「このまま、太平洋を越えて向こう側の国に渡る。どうせ、船の操作は可能なんだろう」
 サウサは、ふっと諦めたような顔をして表情を消した。
「わかったよ、おまえがどうしようもないってことは最初からわかってたんだ。せっかく気分がよかったから、助けてやろうと思ったのに……しょうがない奴め」
 サウサはクルッと回転して、船の先頭に向けて歩き始めた。
「どこまでも付き合ってやろうじゃないか」
 そんなサウサの背中も見つめていると、不意に潮風が吹いてくるのを感じた。風が吹いたわけではなくて、船が動き出したのだろう。
 この止まった世界で、青空はどこまで続くのだろう。静かに止まった水面を走り始めた船の甲板に寝そべりながら、ぼくは心地よい疲れに目を閉じて、海の向こう側の行ったこともない世界へと思いをはせるのだった。

『止まった世界に生きるぼく』完結(著作 ヤラナイカー)
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プロフィール

ヤラナイカー

Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロの小説書きになりました。ちょっと忙しくなるので更新遅くなってます。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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