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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
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第六章「きゅうへん」
 もういい加減、休憩時間に屋上に呼び出されるにも慣れてきた幸助だ。
 初夏の風に金髪を晒すようにして、青空を見上げている姿が美しい。あいかわらず、なにをやらせても絵になる少女である。
 文句の一つでもいってやろうと、幸助が口を開こうとすると、いきなり繊細な指先で唇を押さえられた。見方によっては、なかなか官能的なしぐさだが警戒している幸助は、そんな気分にならない。
 別に喋る必要はないのだ「なんのつもりだ」と思考すれば、ルシフィアには伝わる。心が読める能力というのは便利なものである。一方的にだが。
「私たちの逢瀬を邪魔する虫がいるみたいです……給水塔の裏!!」
 ルシフィアが意外に通る声でそう誰何すると、本当に給水塔の裏から、見覚えのあるスラリとした女性がでてきた。
 幸助たちが来る前に、屋上に事前に隠れていたのだろうか。それとも、まさかとは思うが、直接壁を登ってきたのか。幸助の知る中で、それも可能かもしれない、と思わせるただ一人の女性……あの円藤希ならば。

 希は無言で、ツカツカとこっちに歩いてくる。彼女が無駄に喋らないのはいつものことだが、それにしても纏っている空気が張り詰めて冷たい。信じられないほどに、殺気だっていた。無造作なようでいて隙のない動き。触れると切れるような鋭い視線。
 不良狩りの異名がついてまわり、すでに高等部でも裏で有名になりつつある希だったが、マサキの近くにいるときは温和だったのに。本当の彼女の恐ろしさを始めて知った気がした幸助だった。声などかけられる雰囲気ではない。
 そんな、希に物怖じせずに、笑顔すら浮かべて話しかけられるルシフィアはやはり大物なのだろう。
「盗み聞きされると困るのです。普通科のあなたがわざわざ特進科の屋上まで、ご足労なことですが。それは、魔王の言いつけですよね」
 希はそれには答えず、静かに近づいてくる。足音さえしない。人を操るルシフィアの雰囲気も、今の希には何の意味も持たない。
 そうして、幸助の前を通り過ぎてルシフィアの眼前までいくと、突然その長い足を振り上げて振り下ろした。幸助はまったく希の動きが読めなかった。予備動作もなにもあったものではない、長い足を刀のように振りかざして一気に叩きつけるそれは、まるで剣士の鋭い斬撃――。
「なっ!」
 だが、驚きの声をあげたのは、希のほうだった。
 ルシフィアはまったく構えていなかった、油断しきっていたように希には見えていた。それなのに自分の相手の肩口に振り下ろしたはずの踵が彼女の両手で固められて動かなくされている。
 足はもう、ルシフィアに吸い付いてしまったように、どれほど強く力を込めても動かない。
「希さんは陸上選手なんですよね……足を圧し折られたいですか」
 笑みを浮かべて、脅迫するルシフィア。
 希は、それには答えずに今度は相手の頭を狙って左足を蹴り上げる。その一撃は、フェイク。
 避けられるのは計算のうちで、蹴り上げた足の反動で宙を舞うように一回転して後ろに下がると、地面に着いたとほぼ同時に渾身の突きを前に放った。
 ルシフィアに鉄のような拳が降り注ぐ。
 初撃で相手の構えを崩し、次弾で勝負を決する。希のいつもの必殺技だ。
 単純だが、それだからこそ早い。
 希の武道家としての真価は力でも技でもなく、鍛え抜かれた速度と急所を貫く正確さにある。
 希は女性、力は鍛えても限界がある。だが女性の身体は、柔軟さと反射神経で男に遥かに勝る。
 一瞬で一撃。二瞬で二撃。希の速度は、人類の限界に近い。
 その上で、さっきは手加減したが、これは本気の全力。スピードを乗せるということは力も乗せる必要がある。素人相手にやれば骨折ではすまない。ルシフィアも多少は腕に覚えがあるようだが、避けられるはずがない。
 敵の懐に深々と突き刺さった、刹撃。会心の手ごたえがあった。ほんの数瞬、突き刺した腕が力を出し切った快楽に震える。暴力に酔う。
 だがそれにもかかわらず。
「受けられたっ……」
 実戦経験の豊富な希は、相手の力は身体つきをみればだいたいわかる。やわなお嬢様に見えるルシフィアが一撃を受けきったのは意外だったが、そのしなやかな動きは柔術の類なのだろうと納得はできた。力を殺して受け止めることもできるかもしれない。
 だが、長年の訓練で練られた希の殺人機械のような連続攻撃のスピードに、人間の反応速度がついてこれるなどありえないのだ。
 ありえないことが、起きた。
 まるで、希がどう攻撃するか最初から分かっていたような完璧な防御。むしろ、希は攻撃を放棄して、後ろに下がろうとした。逃げようとしたのだ。
 だが掴まれた右手は、どんなに力を込めても動かない。冗談ではない、目の前の敵が本気になれば、四肢を順番にもぎ取られる。理解できない本能的な畏怖を感じて、背中に冷や汗が滲む。人間の持てる限界まで鍛えた希だから分かる、こいつのやったのは人間技じゃない。
 ちがう、人間じゃないのだ――目の前にいるのは『化け物』だ。

「おイタも……いいかげんにしないといけないです!!」
「はなせっ」
「魔王は監視だけを命じたはずです。誰が手を出せといったのですか」
「マサキは関係ない! 私の勝手な判断だっ!」
 だから、自分だけを罰せよと希はいうのだ。叶わない敵を前にして殊勝なことなのだが。希がそう思っていると分かったからこそ、ルシフィアにはその愚かさに思わず、その端正な顔をゆがめてしまった。ほんとに、腕を圧し折ってやろうかと希の腕を掴んだ手に力が篭る。
 心が読めるルシフィアには、人の心の醜さが手に取るように分かる。
 希の抱いている愛情と思い込んでいる感情は、ルシフィアにとって唾を吐きつけてやりたいほどに醜く見える。
 これが愛だと! 馬鹿をいうな、愛が穢れる。
 希のマサキへの愛情というのは、つまり自分の凶暴性を他者に仮託して押し付けているだけの甘えだ。希はマサキのためという理由をつければ、いくらでも暴力に酔うことができる舌なめずりする凶暴な獣。
 愛、正義、忠誠心。ご立派なものだ。それが同時に希の中で、剥き出しの殺意、剥き出しの暴力への渇望。殺したい壊したいという欲望なのだ。
 綺麗な言葉で、人も自分も騙して醜さを押し隠して!
 達観した武道家づらをしている下郎の女が。
 よりにもよって、この私を『化け物』と蔑むか!
 ルシフィアの抱くのは、そういう深い怒り。
 そして、それをたぶん全て理解して、そのうえで自由を許しているマサキの愚かさ。これは飼い主の責任だ。凶暴な犬を鎖もつけずに放し飼いにしている馬鹿がいる。どいつもこいつも、愚か過ぎる。
「へぼ将棋、王より飛車を可愛がりっていうそうですよ」
「なんのことだ」
「魔王は、優れた指し手ではないってことです。自分の持ち駒をコントロールもできないようですから」
 そう揶揄して、ルシフィアは怒りを自分の心で噛み殺してから、希の主を蔑み、あざ笑って、希の手を離してやる。もう、攻撃される恐れはない。
 希は監視がばれた段階で、実力行使でルシフィアを押さえつけようしたのだ。マサキが『手を出すな』とは命令しなかったから。それがマサキの過失なら愚か、万が一にも故意でやったなら戦争だ。
 希の力押し。拙速すぎる攻撃。それが有効な敵もいるだろうが、思考が読めるルシフィアには早いだけで単調な攻撃など通用しない。希の動きが機械のように正確だからこそ、簡単に封じることができる。
 そして、それを示したルシフィアに希は飲まれた。
「私は……駒じゃない」
「そうですね、監視の役目もまともに果たせないようですから。駒以下の役立たずだ。あなたは、なぜマサキが攻撃ではなく監視を命じたのかも理解できていない」
「どういうことだ」
「知らないんですか、ここの学園の理事は佐上家の者ですよ。私が、その気になれば適当な理由をつけて、安西マサキを放校処分にできるんです。私と敵対したらこの学校には居られないんです。だから監視だけを命じたのに、勝手に貴女は動いたのです。たとえば暴力沙汰とか、退学の理由付けにはちょうどいいですよね」
 希は二の句が次げない。それはそうだろう、まさかいきなりマサキを退学。しかも、自分の安易な行動のせいで。そんな希の絶望をタップリと味わい尽くすと、ようやく気が晴れたのかルシフィアは罪のない笑顔で助け舟を出してやった。
「私も鬼じゃありません。今回だけ、許してあげましょう。二度と私と……幸助さんの行動を監視しないように魔王に伝えておいてくださいね、次はありません」
 そういうと、もうそこにいる希からは興味を失ったようにルシフィアはフェンスに手をついて屋上を見上げた。希はその背中に何かをいいかけようとしたが、すぐ諦めて、肩を落とすようにして、幸助にだけ一礼して希は去っていった。

 もう、ルシフィアは普段の優雅な様子を取り戻していた。その背中に幸助は声をかける。
「おい……」
「なにか?」
 なにかじゃねえと、幸助は思う。一連の騒ぎが急な展開すぎて、何も言えなかったのは情けないが、幸助からも釘を刺しておかなければならないことがある。
「いきなり退学とか」
「ああ、あれはただのブラフです」
「えっ……嘘なの?」
「うちの家が学校に出資してるからって、学園理事の娘だからって何なんですか。勝手に生徒を退学なんかにできるわけないじゃないですか」
 そういって、ルシフィアはお腹を抱えておかしそうに笑う。
 そういわれたら、そうなのかもしれないが、権力者然としたさっきの堂々たる物言いを聞かされては騙されてしまってもしょうがない。というか、こいつも怖い。
「希はまんまと騙されたわけか……」
「小賢しい魔王なら、あの程度のブラフは効果ないでしょうが。あれは手駒を大事にしすぎてますから、ああやって少し円藤希の頭を押さえつけてやれば、もう手はだせないですね。向こうは暴力できたのに、平和的に解決した私を褒めて欲しいですね」
「うん……それは、まあ……」
「それにさっきから、手が痺れてすごく痛いんです……覚悟して受けましたけど、女性とは思えない馬鹿力ですね。次はないのは、本当はこっちですよ」
 そうやって、可哀想に少し赤く腫れてしまった手のひらに息を吹きかけている。力を逃がしきったはずなのに、それでもなおダメージを与える希のほうこそが『化け物』だとルシフィアは言い返してやりたかったのだ。
 そしてマサキは馬鹿者だ。それは決定。
「マサキにも、大丈夫だといっておいたのに」
「希さんの頭の中を見て分かりましたが、あなたもずっと監視されていたはずですよ。気がつかなかったんですか」
「えっ! そうなの」
「気配が見えるというなら、それぐらい察知してくださいよ」
「面目ない……」
 たぶん多人数での、それとなくの監視だったのだろう。マサキの手下は学園に無数にいるからな。幸助の気配察知は「なんとなく」というレベルだから、尾行でもされないかぎりは分からない。
「それにしてもわからないのが、魔王です。彼は臆病で手駒を出し惜しむ性格のはずなのに、いきなり一番の切り札を使い潰すように無駄にして」
「お前はマサキくんの考えも読めるのだろう」
「それは……そのはずなんですが、変なノイズが。こんなこと珍しいんです」
 そういって、ルシフィアは本当に困惑げに端正な眉をひそめる。
「君の読心術は、完璧ではないのか?」
「完璧に近いですが、視力と一緒で見ようと思わないものは見えないのですよ。隙はあります。人間ですから、私も……」
 それは、おおよそ人間らしくない完璧さを見せていたルシフィアの、人間らしい弱さを垣間見せた瞬間ではあった。
「そうか、マサキが言っていたのも、あながち間違いじゃないということか」
「あれは間違いなんですけどね、もう少し使いやすいですよ私の力は。それに、私が出している情報に左右されている段階で、隙を突くなんて不可能ですからね」
「ああっ、それもそうか」
 ルシフィアの隙が突けたら、という幸助の思考もどうせ読まれているのだ。
「それでも見ようと思わないものは見えない。私に弱点があるとしたらそこだけです。幸助さんが突きたいなら、突いてくれていいですよ。それじゃあ、私は行きます」
 謎かけなようなことをいって、さっさと行ってしまおうというルシフィア。さすがに呼び止めてしまう。
「どこへいくんだ」
「魔王のところです、よく考えたらすっごく怪しいです。放っておこうかと思ったけど、気が変わりましたのです」
「マサキに手出しだけは」
「しませんですよ、私は相手が手を出そうとするまえに分かるんです。相手がやる気がなければ、私もやる理由はありませんです」
 そういって、行ってしまった。なにか少し焦っていたようだった、いつも無駄に余裕をかましている彼女らしくない。止まった世界でしか、力を発揮できない幸助としては争いにならないように祈るしかない。
 マサキがルシフィアとこうもぶつかってしまったのは、やはり幸助のせいなのだろうか。バランスが崩れた原因が自分だとしたら、幸助はそう考え込んでしまう。何をすべきで、何をすべきではないのか。幸助の力は限定された環境でのみ無敵であり、現実で何かをするには余りにも無力だった。
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Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロの小説書きになりました。ちょっと忙しくなるのでご迷惑をおかけするとおもいますが、月一更新を目標にやっていこうと思いますので、今後ともよろしくおねがいします。



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