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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
六章下
「うっ……んぐっ!」
 そんなふうに、自分の無力さをかみ締めていたところだったので、いきなり小さい手で後ろから羽交い絞めにされて、何かを叫ぼうと思って口をあけたところに放り込まれて飲み込んでしまったのはしょうがなかっただろう。
 薬か何かかを飲んだときのように、球状の小さな粒が喉を嚥下していくのがわかる。
 叫ぶのも忘れて、幸助は座り込んでしまった。
「すいません、毒じゃないですからしっかり飲んでください」
「飲んじゃった……なんか飲んじゃったよ」
 幸助なみだ目。喉の奥まで手を突っ込まれたのだから当たり前だ。
「緊急事態につき、誠に失礼いたしました」
 小さい子供が、見上げている。白衣に緋袴という異様な装束、巫女さんが着るような衣装をした小学生の女の子……が何故ここに。
 そう思考してすぐに彼女は子供ではないと分かる。なぜなら幸助は彼女を知っているのだから。目を白黒させて口つぐんでいる幸助に向かって申し訳なさそうに話しかけてくる声も、妹的容姿、妹的な声であり、今にも「お兄ちゃん」とか言いそうだったが。当然、言うわけもなかった。
「私は、特進科三年の平賀芽衣子といいます」
「……名前は、知ってるよ」
 巫女服の女の子というだけで、この学校には一人しかいない。魔王以上に有名人だ。幸助も去年、彼女が文化祭のときに体育館で祝詞を踊っているのを見た。いまは高三になっている、平賀芽衣子は吾妻坂市の西山に社がある平賀神社の一人娘だ。
 社といっても、小さい森程度なのだが。そこには晩年に日本中を旅行して、旅先で没したという江戸中期の天才発明家、平賀源内の墓がある。
 平賀神社は、彼を祭って建立されたという触れ込みの神社で、一応地元の学問の神様になっている。幸助も、受験前に行ったことがある。受験祈願のお守りと一緒に、源内まんじゅうとかも販売している、なんか宗教施設としての重みに欠ける神社だった。
 ただ芽衣子が有名なのは近所の神社の娘であるということではなくて、この小学生に見える百五十センチに満たない小さな体格である。いや、体格だけではなくて、もう見た目がそのまま女子小学生なのだが。なんでも、噂に聞いたところ事故か何かで成長がそこで止まってしまったらしい。
 小人症というのか、生まれつきそういう子供っぽくみえる大人を幸助も見たことがあるが、芽衣子はさらに稀なケースで、事故による後天的な脳機能の異変で成長が止まってしまったそうなのだ。
 クリクリとした大きな瞳に、少女らしい光沢のある肌は、そういう病気というよりは女子小学生がそのまま高校に来ていると思いたいぐらいだ。
 それにしても、彼女は本当に不老なのだろうか。その場合人間としての寿命はどうなるのか。興味は尽きないところなのだが、本人としてはこの体格でずっとやってきて苦労もあったのだろう、親しくもないのに聞けるような話ではない。
 いくら家業が神社だからといって、巫女服を着用して校内をうろうろするなど許されないはずなのだが、黙認されていた。教師からはマサキ以上の特別扱いを受けている少女。彼女は、それもしょうがないかと幸助が見ても思ってしまうほどの可憐さを持っている。
 明るく朗らかな性格で、小学校高学年の可愛い女の子にしか見えないのだから学内でも人気も高い。もちろん主に小動物的な意味であるが、一部の男子にはもっと特殊な需要もあるかもしれない。
 特進科だから学業のほうも問題ないのだろう。だからこそ、多少の奇矯な服装や行動は、教師からは放置されているのかもしれない。普通科の不良たちもマサキがなんとかするまで放置だったし、いまさらながらこの学校の教師たちはいい加減というしかない。

「とにかく、時間がありませんので説明だけ先に。今飲ませたのは、封鬼の守りです。佐上ルシフィアの能力を減じさせる効果があります」
「そんな妙なものを……あっ、そうか、だから君だけはここに隠れていてもルシフィアに思考を読まれて見つからなかったのか」
 もう急な展開にも、いい加減慣れてきた幸助だ。理解も早い。
「そうです、彼女の読心術は鬼の力です。そして、うちは元々陰陽師ですから。鬼を完全に封じるのは難しいにしても、減退させることはできます」
「ふむ……」
 また、唐突で意外な展開だったが、ルシフィアの読心術を潜り抜けてみせたことで、幸助はその言葉を信じざるを得ないところだ。彼女がいうには、ルシフィアの能力というのは、鬼の力だという。だったら、幸助の時間を止められる能力も鬼なのか。
「いま、守りで奴の読心術を妨害できているのは私とマサキ様と、あなただけです。これ以上範囲を広げると、ばれてしまいますから。これはマサキ様に言わせると情報戦なのだそうです。鬼にばれたら、こっちが逆にやられてしまいます。私も高三で退学にさせられるとか、親が泣きますからね」
 そういって子供らしくはにかむ。さっきルシフィアがいってた退学うんぬんの話も、隠れてちゃっかりと聞いていたらしい。
「ちょっとまってくれ」
 幸助は、聞きたいことがたくさんあった。次々と新しい事実を出されて、思考も混乱の極みに達している。
「もう私は行きます。長居はするなというマサキ様の指示でした。もし聞きたいことがあるなら、神社まで来てください。あそこなら鬼の力も通用しませんから」
 そういって、呼び止めるまもなく給水塔の裏に消えていった。あそこからどうやって帰るんだ……幸助が気になって追いかけると、給水塔の裏の側面に縄梯子がかけられて、三年の教室に降り立った芽衣子が、窓から縄梯子を回収しているところだった。
「なるほど……ああいう風にすれば、別に側面を登らなくても給水塔の裏に出られるわけか」
 たぶん希もあそこから来たのだろう。いきなり、三年の教室から縄梯子で屋上に上がっていく二人を見て上級生たちが騒がないのはおかしいのだが。マサキが事前に催眠で違和感を感じさせなかったのかもしれない。そう考えれば、この事態はマサキにとっては予想外ではなくて想定内なのか。
 この展開は、マサキの策なのだろうか。
 とにかく、幸助は大人しく自分の教室に戻ることにした。自分がどう動くのかも決めかねたままで、この事態の急変は厄介すぎる。

「どうしたの、顔真っ青だよ」
「ああ……もう、どうしていいかわからなくてな」
 自分の席にへたり込んだ幸助に、隣の美世がパタパタと下敷きで風を送ってくれる。ああっ、この娘は和むなあ。
「悩み事なら、この美世さんが聞いてあげようじゃないか」
 そういって、楽しげに覗きこんでくる。そういえばこいつは人の厄介ごとに首を突っ込むのが趣味だったんだな。ある意味、美世の存在自体が幸助の悩みの一つなのだが、ぼかして聞いてみることにした。他者のアイディアも欲しい。
「もう、話が込み合いすぎて説明のしようがないんだが……自分のせいで起こった。友達と知り合いの喧嘩を止めたいんだよ」
 そう、普通科に陣取っているマサキたちと、特進科のルシフィアが衝突してしまったのは、こっち側に居る幸助が、その微妙なバランスを崩してしまったからだ。自分のせいと言ってしまってもいい、幸助は責任を感じて何とかしたいと思うのだ。それだけは、混乱した頭でも分かる。
「うーん、それは難しい問題だね。『奴との戯事はやめろ』って間に飛び込むとか?」
「それ……恋人が死ぬうえに片方が宿敵になるフラグだろ」
 美世に相談とか、我ながら弱っているなと幸助は思う。
「じゃあ、ウォークマンのボリュームを上げて部屋の片隅に蹲ってるとか」
「それもバットエンドじゃん……」
 突っ込む気にもなれない。ただ、幸助は美世と話していると不思議と少し心が落ち着いてくる。
「じゃあ、『生きろ!』ってギアスかけてみるとか」
「おまえ……伏字なしで堂々とそんなこと言うなよっ!」
「じゃあ……」
 美世は、著作権とかない幸せな世界に生きているらしかった。羨ましい限りだが、このまま続けさせると、この娘は何を言い出すか分からない。某企業の法務部とか、ジャスダックとか、いまは誰がどこで聞いているか分からない時代だ。
 いろいろ怖かったので続けようとする美世を口を押さえてさえぎる。
「いや……ありがとう。参考になった」
「また、つまらない相談を解決してしまった……」
 そう満足げに呟きながら、無邪気に笑っている美世が本当に羨ましい。この娘は何も知らないのだ、彼女だけはせめてそのままでいて欲しい。幸助は立ち上がる、いま彼に動く理由があるとすれば、せめてその程度のこと。時間を止めれば、まだ間に合うかもしれない。
「……わる」
 急速に、音を失っていく世界。慌てずに、だが迅速に。世界が止まりきるのすら待たずに、幸助は駆け出していた。マサキとルシフィアがぶつかるとしたら、やはり普通科と特進科の中間地点……食堂あたりに違いない。

 しかし、幸助は間に合わなかった。
 駆けつけた、食堂近くの通路に複数の人影。
 その真ん中で、マサキがぐったりと倒れていたのが見えた。
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おかげさまでプロの小説書きになりました。ちょっと忙しくなるので更新遅くなってます。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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