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E小説(中出し・孕ませ・時間停止・催眠・環境変化など)
エロ小説のサイトですので18歳未満の方はお帰りください。傾向はマニア向け、作品中のほぼ100%中だし妊娠描写、付属性として時間停止・催眠・環境変化などです。
終章「消える未来」
 鵜杉がふと、鏡を見つめるとそこには何も映っていなかった。
「あっ……あれ」
 何度見ても、鏡に自分が映らない。下を向いて手を見つめようとしても、その手がなかった。手を動かそうとしても、手の感覚がもうすでになかった。眼も鼻も口も、身体の全てがなかったのだ。

 じゃあ、この目の前の風景を見ている俺はなんだ。

「うあぁ!」

 口が無いなら叫べない

「…………」

 そう思った瞬間に鵜杉は声も出せなくなった。
 眼がないなら、見えないはずだ。
 そう思った瞬間、鵜杉は目の前が暗くなっていって闇に包まれた。
 いや、それは闇ですらなかった。ただぼんやりと仄かに白っぽくて、そこには「無い」ことが分かるだけ。
 五感を全て奪われた無感覚のなかで、鵜杉が最後に見たのは「白っぽい闇」と「黒い光」が入り混じって溶け合う、ぼんやりとした灰色。
 そこは地獄ですらなかった。だってなにも無いのだから。
 光がなければ、闇も無い。
 生もなければ、死も無い。
 鵜杉は、自分の消滅を意識する暇も無く、存在のすべてを失った。

 無音……そこにはもう、何も無い。

 しばらくして、白い闇を貫くように、一筋の光がはじけた。
 それは黄金色に輝く光で、一際明るく瞬くと、こう呟いた。
「どうすれば、彼は消えずに済んだのだろうね」
 すると、白っぽい闇がこう答えた。
「彼が消失するのは、はじめから定められたことだ。彼は猶予を与えられただけだ、その間に彼が何をやろうと勝手だが、時が至ればこうして消える」
「ふうん」
 黄金色は鼻で笑うように煌いた。問いではないので、白い闇は答えなかった。
「おやおや、なにか不満そうだね」
 白い闇に溶けていた黒い光が顔をのぞかせて聞いた。
「いや、不満ってほどでもないが。はじめから結果が分かっていたなら、ゲームにもならないと思って。君たちは退屈しないのかね」
「退屈とは、不穏当な発言だね。ぼくらと違って常世の人間は、生まれれば死ぬものと決まっている。消える定めを受けたものなら、これもまた消えると決まっていてあたりまえじゃないか」
 そう黒い光が言うと、白い闇がその下から陰鬱そうな声をあげた。
「おい……黙れ。この黄金はどうやら人間の意志のようだぞ」
 黒い光がピカピカと瞬くと慌てた声をあげた。
「まさか……人間がここに『在る』なんてことができるわけがない!」
 白い闇がそれにまた陰鬱そうに答える。
「これまでは、そうだったが。いまここに人間の意志が『在る』以上は、人間でもここに形を保って至ることができるようになったということだ」
「そんな……」
 黒い光は絶句して、萎んでいった。
「私は、君たちと一緒になって、ずっとここからあの鵜杉という男を見ていたのだが、気がつかなかったのかい……君たちはわりと鈍感なのだね」
 問われたら答えざるを得ず、白い闇は嫌々に答える。
「これまでになかったことだから……私も事象の全てを知覚できるわけではないのだ。ましてそれらを全て、どうこうしようなどとは」
「運命は所詮、結果論に過ぎないといったところかな」
「人の子がここへきてそう問えば、そうだと答えざる得ない。これも結果だ」
「鵜杉君はかわいそうだったが、これも力を無駄にもてあそんだ報いか――彼の子供は残ってるみたいだから、跡形も無く消すなんてことは君たちにはできないのだね」
「そうだな、できない……それを知ってどうするつもりだ人の子」
 つい問い返してしまった自分を悟って、白い闇は蠢いた。迂闊である。生まれてから、何億年ぶりに自らの存在が揺らいだようなそんな不快感を感じて、問い返さずにいられなかったのだ。
「必要な情報は集まったから、ひっくり返して見るのも面白かろう」
 白い闇はまた蠢いた。その揺らぎは、問い返すことを抑えているように見えた。だから、黄金の光はあえて無言の問いに答えるように、挑戦するように、こう続けて宣言するのだ。
「人と、君たちの命運を全て!」
 白い闇は、大きく身体を揺るがすと、黄金色の光を飲み込むように動いた。飲み込まれた金色の光は、大人しく飲み込まれたように見えたが、やがて白い闇は苦しげにのた打ち回り蠢く。
 やがて激しく震える白い闇の身体を引きちぎり、黄金色の光が大穴を明けて飛び出した。そうして、そのままその勢いで虚空を飛び去る。
 それはまるで、厚く張った雲間を突き通して降り注ぐ太陽の光のように。

 その一点の霊光は、太虚を貫いた。在ると無いとを両断する天空の光!

 現実の世界では、鵜杉の子供たちが確かな産声をあげていた。
 その子等の誕生を祝福するように、暖かい光が降り注ぐ。
 光に照らされながら、キャッキャと笑う。その赤子らの笑顔には、鵜杉の面影がたしかに残っていた。

「相手にされない男」 完結 著作ヤラナイカー
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Author:ヤラナイカー
おかげさまでプロの小説書きになりました。ちょっと忙しくなるので更新遅くなってます。
(プロフの画像、ヤキソバパンツさんに提供してもらいました)



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