| 標的七「終わりの始まりに」 |
ジュブジュブ……ズブズブ……
夕日の差し込む部屋で女子高生が自ら腰を振っている。見る人が見れば、すでにお腹が少し大きくなっていることが分かるだろう。もちろん、その下のソファーベットに寝そべっている、ストーカースナイパーの子供である。世界が赤い……夕日を見上げてそんなことを思いながら我慢せずに、女子高生のオマンコの中に射精する。
ドピュドピュドピュ!
いささか、こいつにも飽きてしまったなあ。女の顔を見上げた彼のマンションに、長身の男が突然乱入してきた。 「そこまでだ、石田光蔵……すぐご令嬢から離れるんだ」 そういわれても、女子高生はトロンとした目で腰を振り続けているしストーカースナイパーも、反応しない。石田光蔵っていつ使った偽名だったかな、なんてことを考えている。 「薬物か!? どっちにしても、もう終わりだぞ。ストーカースナイパーと呼んだほうがいいのか、貴様のことは調べた」 その名を呼ばれて、初めてストーカースナイパーは顔を男に向けた。自分の名を知るものであれば、相手をしてやろうかと思ったのだ。女の耳元で何かささやくと、ソファーベットから立ち上がってやる。 「ふん、私の名を知っているとは……警察か?」 男はようやく相手をしてもらって嬉しそうだった。ニヤリと笑うと、そんなチンケなモノではないと言い、内閣調査室資料課の諜報員だと名乗った。たしかに、男の高級そうなスーツ姿は、刑事というよりはやり手のビジネスマンに見える。資料課というのは日本唯一の諜報機関だったか。警察や公安などの連中の来訪なら、手馴れているストーカースナイパーもちょっと意外な顔をした。 「おれが警察だったら命だけは助かったのにな、お前のこれまでやってきたことは大体調査してるぞ。多数の婦女暴行の疑いがある。よくこれまで警察にあげられなかったものだ。異様な手口を使ったものだということも推測できている。まあ、それはいいとしてもお前の横にいる女性が誰だか分かっているのか」 「誰だね」 「おまえ……知らないのか、内閣官房長官のご令嬢だぞ! お前は日本国を敵に回したのだ。だからこの結果がこれだ!」 すっと、拳銃を出した。 「ほう、日本のスパイはワルサーP九十九なんて使ってるのか」 「おれの趣味だ、おれにも多少の裁量というものがあってな。お前は日本の治安維持のためにも死んでもらったほうがいいと判断したんだ」 「ふーん偉いのだな」 「冥土の土産はこれぐらいでいいか、じゃあ死にな」 そうやって男は、拳銃をガチャっと撃つ。サイレンサーもついているから音も漏れずに、三発も叩き込めば殺せるはずだったのだが。 「手が……動かない」 「お前は、すでにこのマンションに入ってるからな。私には手出しできないようになってるんだよ」 「そんな……ばかな、薬物か?」 「さっきから、よっぽど薬が好きみたいだな。この部屋の文様変だと思わないか、お前はすでに私の暗示にかかっているんだよ。まあ、簡単な催眠術だ」 「ばかな……そんな魔法みたいな力があるわけないだろ」 やれやれと、ストーカースナイパーは手を振って肩を落とした。 「目の前にあるんだから信じなさい」 「ばかな……認められない!!」 そういって諜報員の男は、何度も何度も銃を振って撃とうとして手を身体全身を振った。振り続けた。 「だからだな、そうやってこの国の人間は、経験と目の前の事実が相反したときに事実を認めないだろう」 近づいたストーカースナイパーが触れただけで、諜報員の男はただ無言で、ガクガクと震えて銃を取り落とした。 「だから、この国は滅ぶんだよ」 そういって、ストーカースナイパーは諜報員の手を押さえた。まったく抵抗できない。 「くそ、身体が動かない……おれを殺すのか……」 いや、そういってすっと諜報員のネクタイをはずし「オレはノンケだってやっちゃうんだぜ」と耳元で囁いた。 「うぁぁーそれだけは止めてくれ! 話す!! 背後関係も全部話すからぁ!!」 「それは、寝物語に聞くことにしよう」 「うぎゃぁぁ!!」
日が沈んで、月が昇り、また月が沈みかけたころ。ストーカースナイパーは部屋を引き払うことに決めた。意外に、捜査機関や政府は彼の存在に感づいているということが分かったからだ。それでも――遅い。彼はやり方を変えて戦い続けるだろう。社会の片隅に鬱積した思いが篭り続けるかぎり、それが彼に力を与え続けるかぎり、彼の戦いは終わらないからだ。
ストーカースナイパー完結 (著作 ヤラナイカー)
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